タイトルの下に”Balancement de la main gauche.-Expression de la dissonance”「左手のスイング、不協和音の表現」とこの曲の課題が書かれています。テンポは、Andante。左手は、スラーの終わりの音が重くならないよう、しかしあまりスタッカートのように短くなりすぎることなく演奏し、スイング感を出しましょう。スイングといっても、ノリよく揺れるのではなく、左手の1拍めの音が半音で移り変わっていく怪しさを感じ、タイトルの「砂漠」から連想される揺れをイメージしてみると良いでしょう。右手も半音階を多く使用したメロディでミステリアスです。突如、12~13小節と、13~14小節でメロディに16分音符の動きが出て、クレッシェンドとディクレッシェンドの松葉によって、この曲中で唯一のfが一瞬出ます。静かな砂漠に異変が起きるようです。再び静かに、曲の終わりのppに向かっていきます。最後3小節のppは左手のスイングがなくなり、左右で重なる不協和音を静かに聴きましょう。