フレ :初歩の練習(5度の音域) 民謡I
Frey, Martin:Im Umfange von 5 Töne Volksweise
ピティナ・ピアノステップ
23ステップ:導入3 基礎1
演奏のヒント : 大井 和郎 (523文字)
完成させて行くには、いくつかの重要な事柄を順番に(あるいは順不同でも良いです)熟していきましょう。
1 まずはフレーズの終わりの音にアクセントを付けないようにします。 ただし、10小節目の右手Dは、9小節目から上行していきますのでクレシェンドをかけますが、その他のフレーズは全て終わりの音をピアノ、またはピアニシモで弾いて下さい。
2 カノンのようになっていますので、1 が出来たら、両手を合わせるのですが、例えば、2小節目の1拍目は右のGよりも左のHを聴かせるように弾きます。なぜなら右手はフレーズの終わりの音、左手はフレーズの初めの音だからです。そして3小節目はその逆になり、右手を出して、左手のGを控えます。これはとても難しい技法なので、余裕が出来てから取り組んでみてください。
3 強弱を付けます。ピークポイントは5~6小節間の右手で、この曲中で最もテンションの高い場所と考えます。ここに向こう方向性を聴かせて下さい。
4 この曲は基本的に、左右の手が交互に来ますが、5小節目以降は初めて左右が一緒になって歌う部分です。そしてそれが終わるのは8小節目です。8小節目で、気づくか気づかれない程度、本当に一瞬だけ時間をとって次に進んでも良いでしょう。
解説文 : 熊本 陵平 (609文字)
別タイトルで初歩の練習[5度の音域]とある。この5度の音域が指す意味は手のポジションであり、指くぐりのない五指のポジションが想定されている。
構成としては小規模な三部構成。
まず、完全な2声の模倣が1から4小節で行われる。ここで大切なことは、右手と左手が共にメロディということで、特に左手にも右手同様にニュアンスをつけて2声のポリフォニーを表現するということである。
続く5から8小節では、上声(右手)は2小節を1単位とした反復進行(ゼクエンツ)となる。この時、5、8小節では2拍目cとh音は経過音、6と7小節では2拍目hとa音は刺繍音でいずれも非和声音のため、一音一音弾くのではなく、フレーズとしてまとまった表現が望まれる。下声(左手)では上声のメロディとは異なるメロディで、こちらは反復進行ではない。特に6小節目、下声a音の四分音符→d音の二分音符への進行は上声とでは反進行(2声間で各声部が逆方向へ進むこと)しており、音価・リズムも異なることからポリフォニー感が強まる。
9小節目から終結楽節が始まる。模倣は9から10小節であるものの冒頭とは異なるメロディラインで、後半11から12小節では2声間で異なる動きをしている。下声の方が長いフレーズとなっており、上声が12小節1拍目で主音に到達して終止するのに対して、下声は遅れて3拍目で主音に到達する。このため、弾き手は12小節、最後の3拍目まで音を意識する必要がある。
【2024ピティナコンペ課題曲】初歩の練習 民謡I
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