グルリット, コルネリウス : こども音楽会 野原で踊ろう Op.210-14
Gurlitt, Cornelius : Der erste Vortrag Tanzchen im Freien Op.210-14
作品概要
解説 (2)
演奏のヒント : 大井 和郎
(396 文字)
更新日:2024年6月17日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (396 文字)
この曲は、ABA形式で、Aセクションは、主に2小節ずつのフレーズとなっています。この2小節単位のフレーズは、会話のような掛け合いであり、1人の人が語りかける言葉に対して、もう一人が答えるイメージとお考えください。その、「複数」の表現が欲しく、一本調子で弾かないように気をつけて下さい。9小節目から12小節目までは、カノンのような技法で書かれていますが、これも2人の会話とイメージします。最初は左手からメロディーが出てきますが、それが終わらないうちに、右手が出てきます。右が出てきたときは、右のメロディーを左手よりも出すことで、面白さが出てきて、曲がより一層わかりやすくなります。
Bセクションは8小節x2と考えます。前半8小節と後半8小節では雰囲気が異なりますので、その違いを出すようにして下さい。
とても楽天的で軽快なムードの曲ですので、スタッカートが重たくならないように気をつけてみて下さい。
解説文 : 熊本 陵平
(1041 文字)
更新日:2024年11月14日
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解説文 : 熊本 陵平 (1041 文字)
主調はヘ長調。
全体の構成としては三部形式。
A[Ⅰ(a: 1から4小節+a1: 5から8小節)+Ⅱ(b: 9から12小節+ a1: 13から16小節)]
B[c(17から24小節)+c1(25から32小節)]
A[Ⅰ(a: 33から36小節+a1: 37から40小節)+Ⅱ(b: 41から44小節+ a1: 45から48小節)]
A楽節の構成は二部構成となっている。a小楽節は主調ヘ長調の明るさ、短い音価でリズミカルな楽節となっているのに対して、b楽節は平行調ニ短調に部分転調し、2声の模倣が行われる。この楽曲内で他のどの楽節もb楽節以外にポリフォニーが見られない。したがって、ここは特に2声の独立した声部として左右のバランスには気をつけたい。
b楽節でニ短調の半終止が行われた後、主調ヘ長調に戻りa1小楽節が再提示される。
a楽節とa1楽節はどちらも下行から始まり、上行して終止する。その大きな違いはaが不完全終止に対して、a1が完全終止であることだ。このため、a1の終止はより安定感のある表現、属7からの和声解決による緊張からの緩和を含めた表現が、aに比べてより表現されると良い。
このようないささか構成が複雑なAと比べ、Bはシンプルに構成されている。Aと同様に大きく二部構成になっているが、旋律動機の音価が長く、動きも少ない。四分音符の比較的音価の長い音符が同音で配列されていることから、声楽的なニュアンスとして捉えることができる。
17小節からの和声カデンツは、不完全カデンツである。ロマン派の時代らしく、ドミナントから始まらず、サブドミナントⅣから開始される。それが25小節からは変ロ長調に転調し、29小節から2小節のゼクエンツを経て主調へと戻る。
B楽節を経てAが再提示されるのだが、冒頭Aとほぼ同一である。違いはa楽節が冒頭に比べてフォルテとメゾフォルテで強弱が構成されており、冒頭部ではメゾフォルテとピアノという構成に比べて、より大きくなっている。
これらの違いは、おそらく全体の流れ上、よりAを印象付けることで全体の、より堅固な統一感を図ったものと考える。冒頭部に比べて、いわばフィナーレを演奏するつもりで表現を変化させてみることも考えられる。
こうした細かな違いにどのような意図が込められているのか、厳密な答え合わせはできない。しかし、このような差違を前にして一度立ち止まり、どのように表現すべきかを考えることはピアノの練習において最もクリエイティブなことである。
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