ボルトキエヴィチ :10のピアノ練習曲 第1番 Op.15-1 ヘ長調

Bortkiewicz, Sergei Eduardovich:10 Etudes Allegre commondo e con anima F-Dur Op.15-1

作品概要

楽曲ID:47962
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:練習曲
総演奏時間:2分00秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (983文字)

更新日:2022年12月8日
[開く]

このエチュードは、奏者によって様々な演奏があるタイプのエチュードです。表記は、Allegro commodo e con anima で、訳すと、心地よい速さで生き生きと という意味ですが、心地よい速さというのは人それぞれですね。結果、テンポは人それぞれになりますが、極端に遅い演奏は硬くぎこちなく聞こえますし、逆に速すぎる演奏は乱暴に聞こえます。そしてまた、メトロノームのように、正確なテンポもこの曲を硬く聞こえさせます。

テンポも大事ですが、このエチュードはルバートが大切です。冒頭にはdolce cantabile と書かれてありますので、右手の8分音符の音がメロディーラインになります。そこで1つ助言なのですが、このメロディーラインだけを抜粋し、単旋律で弾いて見てください。伴奏はそれぞれの和音を3和音として一回だけ1拍目に鳴らすだけで良いです。つまり、最初1小節目は、FACと左手で弾き、2小節目はFGHDと弾く、といった具合です。

その上で、メロディーラインを単旋律で弾いて欲しいのですが、かなり即興的に、自由に弾くようにします。まずは最初だけ分析してみましょう。

1小節目からスタートして、分岐点となるのは調が変わる9小節目です。ですので、1~8小節間が1つのユニットになります。

とても細かく分けてしまうと、2小節単位x4つ と考えられますね。あるいは、4小節単位x2つとも考えられます。いずれの分け方にせよ、1小節目と4小節目の最後はフレーズの始まりと終わりと言うことには変わりありませんので、1小節目の1拍目、と4小節目の4拍目ではルバートをかけて急がないようにします。

筆者であれば、2小節単位x4つより、4小節単位x2つと考えます。あまりにも多くのユニットがあって、そのたびに終わりをゆっくりすることで、大きなフレーズが細分化され、全体の流れが失われると考えるからです。

ルバートをたっぷりかけて、単旋律でメロディーラインを弾いたとき、自分自身が納得できるルバートのタイミングを見つけてください。見つかりましたら今度は、楽譜に書いてある通りの音で弾いて見るのですが、先ほどのルバートをかけたメロディーのタイミングと一致させるようにします。音が多くなったからと言って、ルバートを狂わせてはいけません。自由に右手の16分音符を扱うことで、曲の硬さが取れます。

執筆者: 大井 和郎
現在視聴できる動画はありません。  

楽譜

楽譜一覧 (0)

現在楽譜は登録されておりません。