ラヴェル :ピアノ三重奏 第3楽章 M.67 嬰ヘ短調
Ravel, Maurice:Piano trio Passacaille. Très large fis-moll
解説 : 大井 駿 (335文字)
「パッサカリア」と題された第3楽章は、厳かな性格を持ちながらもシンプルで、ピアノ三重奏曲全体を通して、最も内にこもった楽章です。たった88小節で書かれ、ppに始まり、中間部でffを迎えたのち、終わりに向かってディミヌエンドし、ppで終わるという、まるで一筆書きのような構造を持ちます。
1925年6月にエコールノルマル音楽院で行われたラヴェル自身の講座では、「曲の持つ遅さを強調することで、葬送的な雰囲気を演出する」と述べています。
戦死した友人たちを悼んで書かれた《クープランの墓》(1914〜17年作曲)では、古いフランス組曲の形式を継承していますが、この楽章も、戦争を迎えたフランスの未来をどこか暗喩するように、かつてフランスで踊られていたパッサカリアを用いています。
ピアノ三重奏 第3楽章
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