ラヴェル :ピアノ三重奏 第1楽章 M.67 イ短調
Ravel, Maurice:Piano trio Modéré a-moll
解説 : 大井 駿 (367文字)
第1楽章は、母の故郷バスク地方に伝わる踊り「ソルツィーコ」を元に作曲されています。作曲者によると、「一般的なソルツィーコは5拍子で書かれているものの、古いソルツィーコは8分の8拍子(5+3分の8拍子)で、後者をベースに書いた」そう。
この5分の8拍子と3分の8拍子が融合されたという痕跡は、冒頭の動機のスタッカート位置により辿ることができます。(譜例2)
(譜例2 / 第1楽章、冒頭)
ソナタ形式で書かれており、第1主題、第2主題の音価を半分、または2倍にして様々な箇所に散りばめることで、楽章全体に統一感を与えています。
楽章自体はイ短調ですが、ピアノパートに「lointain(遠くで、ぼんやりと)」と書かれた集結部では並行調のハ長調に転調し、そのまま遠くに消えていくように終わります。(譜例3)
(譜例3 / 第1楽章、練習番号13)
ピアノ三重奏 第1楽章
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