<24.アレグロ・フェローチェ>
このプレリュードの最後の曲で、分数も最も長いプレリュードです。技術的にも大変な曲ですが、音楽的にも表現が難しくなります。音楽的なことを簡単にお話しすると、派手なカーニバルで、様々なキャラクターが登場します。その中で天使と悪魔が交互に現れます。ゆえにテンポはルバートなどをかけずに淡々と進みます。音楽は基本的に激しい音楽で、打楽器的な部分も多くあります。順番に見ていきましょう。
⦿ 冒頭2小節、オーケストラの合図です。冒頭表示はAllegro feroceで、速く、火のようにという意味です。3小節目、最初のキャラクターが登場します。当たり障りのないキャラクターですが、7小節目4拍目の左手や、8小節目1拍目の左手を強調してください。
⦿ 10小節目、別のキャラクターが登場します。ここもバスの16分音符を強調してください。14-15小節間、再びオーケストラです。
⦿ 17小節目、b-mollの調で新たなキャラクターが登場します。以降、略します。奏者の考えるように、異なった調や異なったキャラクターによってカラーを変えたり、ペダリングを変えたり、色々と工夫をしてみてください。
⦿ そうこうしているうちに音楽はピークに達します。32小節目からはさながらオーケストラのtuttiのように、大きく、重たく、演奏します。そして39小節目でさらに激しさを増し、47小節目に到達します。ここがピークになります。重さはさらに増し、音量も増してください。
⦿ diminuendoが来るのは、55小節目からです。ここから徐々にdiminuendoするのですが、不気味さは残しながら進みます。長いトリルも最初は激しく弾きます。70小節目において、ppになるように、徐々にdiminuendoをかけます。この間、テンポは狂いません。
⦿ 71小節目、これまで嵐が去り、天使が囁きかけます。ところが悪魔はまだ存在していて、不気味な影を覗かせます(75小節目、durからmollになり、76-77小節間不気味な叫びを聴かせます)。78小節目、再びdurに戻り、平和が訪れます。ところが83小節目、再び悪魔が叫びます。
⦿ そして86-105小節間、未知の世界に入っていきます。現実に戻るのは、101小節目から105までです。
これらの解釈はほんの一例にすぎません。奏者は想像力を働かせて、一連のカーニバルを不気味に、楽しく、不思議に、表現してみてください。