<21.フェスティヴァメンテ(ノン・トロッポ・アレグロ)>
このプレリュードは、Festivamente と表示があります。これは「お祭り気分で、楽しく、ユーモラスに」等の意味があります。そしてその後ろに、non troppo allegro とあり、決して急ぎすぎないようにという指示です。これですでにこの曲の雰囲気がお分かり頂けたと思います。しかしながら、このプレリュードには作曲家の強いこだわりがあります。それは拍子記号です。
ご覧いただけるとお分かりになりますが、拍子が目紛しく変わります。こんな面倒なことをせず、4分の4拍子でアクセントをつける位置を変えればいいのでは?と思ってしまいたいところですが、そこは作曲家の意図を大切に扱い、各小節の拍子を感じましょう。
そして、メロディーラインは実に単純なメロディーで、B-durの音階固有音を数個辿っているだけにすぎません。このメロディーは何度も出てきますが、その度にはっきりと聴かせましょう。以下、注意点をまとめます。
⦿ 4小節目や6小節目に出てくるメロディーラインの2分音符は、歯切れの良い伴奏系とともに切がちになります。できることであれば、2分音符分伸ばして下さい。
⦿ 11-15小節間、左手の1の指を使って、和音のトップを出してください。これがメロディーラインになります。
⦿ 16小節目、打楽器のように乱暴に演奏します。
⦿ 17小節目、異なったキャラクターが登場します。このキャラクターと、突然入ってくる元のキャラクター(例:20小節目の3拍目)の掛け合いが始まります。ダイナミックチェンジによって、完全にキャラクターの区別をつけてください。
⦿ 39小節目、ピークに達する手前ですが、2拍目にmeno フォルテがありますね、これは一時的にダイナミックを落とし、42小節目のピークに備えるという意味のmenoフォルテです。あまり弱くなりすぎないように注意してください。あまり弱くなってしまうとここでテンションが崩れてしまいます。
⦿ 曲そのものが、躍動的である理由から、ペダリングは、基本的に1拍毎に変えて良いと思います。バスを伸ばす必要はありません。ペダルが多すぎて、1拍以上伸ばしてしまうと、打楽器的イメージが出なくなってしまいます。