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カバレフスキー :24の前奏曲 ラルガメンテ・コン・グラヴィタ Op.38-18

Kabalevsky, Dimitri:24 Preludes Largamente con gravita Op.38-18

作品概要

楽曲ID:44230
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:前奏曲
総演奏時間:2分00秒
著作権:保護期間中

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1148文字)

更新日:2018年3月12日
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<18.ラルガメンテ・コン・グラヴィタ> 

このプレリュードは、冒頭に Largamente con gravita という表示があります。Largamenteは理解できるのですが、このgravitaとはどのように訳せば良いのでしょうか。gravitaとは、深刻にという意味があるのですが、それは英語でseriousと訳されています。日本語に訳すと、「厳粛」とか、「敬虔」という訳になります。そもそも「厳粛」という意味はというと、真面目で厳しく、真剣で厳(おごそ)かな様、とあります。敬虔とは、神仏に謹んで仕える様と定義されています。

これらの訳と、音楽の雰囲気を重ねた場合、イメージされる雰囲気は「巨大なもの」「宗教的なもの」と筆者は捉えています。もちろんこれらのイメージは自由ですので、必ずしもその様に決定する必要はありません。奏者に委ねたい課題ではありますが、少なくとも軽快、快速、とは程遠い雰囲気であることは間違いありません。十分に時間をとり、grandioso的に音楽を表現されれば良いと思います。

さて、譜面上の注意点を少し述べます。1小節目、一見5/4拍子ではないかと思ってしまう譜面の書き方です。1小節目、最初の右手の和音は付点4分で書かれていますね。この付点4分の和音は、次に出てくるDesのオクターブで2拍分になります。3-4拍は簡単ですね。そうすると、間に入り込んできている64分音符と8分音符は一体どのように数えるかという話になりますが、これは、冒頭の付点4分が次のDesのオクターブに行く「間に」演奏される装飾的なパッセージだと考えてください。そう考えると次の2小節目も理にかないます。4小節目など到底3/4拍子には見えませんね。2拍目に書いてある2分音符の和音を伸ばしている間に装飾的なパッセージを弾き終えるようにします。4小節目を例に取りますと、2分音符が来るのは2拍目です。そうすると奏者は2拍分の時間内に装飾的パッセージを弾くのですが、装飾的パッセージの高い位置にあるFを2拍目裏拍、Gesを3拍目表拍、次の8分音符のFを3拍目裏拍に弾くようにします。以降、すべてこのマナーで処理してください。

しかしながら1つだけ問題が起こります。12小節目です。これは先ほどのマナーに従うと、この小節だけは3/4になり得ないからです。実はこの小節の説明は未だにつかずにいます。しかしながら、少なくともここは3/4拍子ですので、2拍目から数えて、3拍子になるように演奏します。この小節の装飾的パッセージの中に、付点8分が存在するのがお分かりになるでしょうか?これは今までに存在しなかった音価です。この付点8分を長めにとり、辻褄を合わせるように(3拍子で収まるように)演奏してください。

執筆者: 大井 和郎
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