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カバレフスキー :24の前奏曲 アレグロ・テネブローソ Op.38-16

Kabalevsky, Dimitri:24 Preludes Allegro tenebroso Op.38-16

作品概要

楽曲ID:44228
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:前奏曲
総演奏時間:2分00秒
著作権:保護期間中

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (999文字)

更新日:2018年3月12日
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<16.アレグロ・テネブローソ>

このプレリュードもかなりの技術を要するプレリュードですが、同時に非常に多くの異なったテンポで演奏されるプレリュードでもあります。表示はAllegro tenebrosoとあります。この、tenebrosoという言葉、あまり耳慣れないのではないでしょうか?これはまず、気味悪く、暗く、ミステリアスにと言うような意味があります。要するに魑魅魍魎的なのです。tenebrosoだけを取れば、このプレリュードはゆっくり弾いてもミステリアスに聴こえます。しかしやはりallegroですので、ある程度のテンポは欲しいところです。おそらく今世紀上、ホロビッツの音源が最もテンポが速いのではないかと思います。是非一度聴いてみてください。また、逆に遅いテンポの例は無数にあります。

何もホロビッツのように異常に速く弾く必要はありませんが、一つのアイデアとして聴いておくと良いと思います。そしてこのプレリュードも一種打楽器的な激しいバスの音が連打され、それだけでもものすごい音量になってしまいます。そうすると肝心のメロディーラインは聴こえにくくなり、結果何が何だかわからないような演奏になってしまいがちです。

低音が多く鳴るところでは、フォルテでもバランスを保ち、聴かせるべき音をはっきりと弾いてください。

基本的に、このプレリュードは2つの素材からできています。この2つの素材がほぼ交互に登場します。1つ目の素材は、3-6小節間のメロディーラインの部分です。2つ目の素材は、7-8小節間のバスのメロディーです。これら素材が次々と形を変えて交互に登場します。それを頭に入れておくと、例えば22小節目、右手に16分音符が登場しますね。これを聴かせなければならないのかと思ってしまいがちですが、左手を見てみると、2つ目の素材であることがわかりますので、こちらを強調するようにします。27小節目、右手に3連符が登場しますが、これも1つ目の素材の変奏に過ぎません。

音楽的な解釈としては、聴いている人たちに恐怖を感じさせるほどミステリアスに演奏し、42小節目のsotto voceから最後の小節に向かい、少しずつテンションを上げていくのですが、特に、最後の2小節はダイナミックが大切な小節です。可能な限りのクレシェンドと、可能な限りのフォルテで最後を飾ってください。当然ですが、ritなどはご法度です。

執筆者: 大井 和郎
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