<11.ヴィヴァーチェ・スケルツァンド>
ネットの動画サイトで世界中の子供達がこのプレリュードを弾いています。演奏を聴くと、このプレリュードはテンポとアーティキュレーションが重要であることがわかります。全体のテンポが落ちてしまうのはもしかしたら13小節目から始まる32分音符のカデンツの部分が原因かもしれないです。1拍に8つも音符があるので、ここを基準に全体のテンポを設定しているのでしょうか。とにかく、このプレリュードのテンポは軽快で速くなければなりません。
このプレリュードもまた、道化関連の音楽で、カバレフスキーの得意とする道化の描写です。楽しく、ユーモアたっぷりに演奏します。しかしながら同じ道化の描写である9番とこのプレリュードを比べた場合、自由なルバートがかけられる9番に対してこの11番はストレートに進みます。
そうなると、例の32分音符のカデンツの部分(1つ目:13-20小節間、2つ目:34-41小節間)も遅くすることはしないで、in tempoのまま進みます。仮に、冒頭で速いテンポを設定すると、これらカデンツの部分に無理がくると考えがちですが、そんなことはありません。
カデンツ部分の練習方法です。まずは、練習時、1つ1つの32分音符をしっかりと鍵盤の奥深くまで打鍵し、ゆっくりと1つ1つの音に力を入れて練習します。左右の指番号は1の指をまたいだり、くぐらせたりしないような指番号に設定します(例:5432 4321 1234 など)。
できるようになったら徐々に速くしていくのですが、最終的に希望の速いテンポで弾く時、これらの32分音符はさながらグリスアンドのように弾いてください。あまり粒ぞろいとか、ムラとか気にせずに一気に弾いてしまいます。
もう1つの注意点はアーティキュレーションです。短く、切れのいいスタッカートで全体を演奏してください。8分音符に付けられているスタッカートは、すべて切ります。しかし例えば、11小節目のように、4分音符に付けられているスタッカートは、本来であれば、8分音符よりも若干長めに音を残します。奏者によっては、かなり長くこれら4分音符のスタッカートを伸ばす人もいますが、どちらでも良いと思います。