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カバレフスキー :24の前奏曲 アンダンテ・ノン・トロッポ-センプリーチェ・エ・アンタービレ Op.38-8

Kabalevsky, Dimitri:24 Preludes Andante non troppo - Semplice e cantando Op.38-8

作品概要

楽曲ID:44220
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:前奏曲
総演奏時間:2分30秒
著作権:保護期間中

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1313文字)

更新日:2018年3月12日
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8.アンダンテ・ノン・トロッポ-センプリーチェ・エ・アンタービレ

技術的にはそれほど難しくないプレリュードですが、大変奥が深く、様々な演奏方法があると思います。このプレリュードには左手の伴奏の他に、2つの素材があるとお考えください。1つ目は、2小節目4拍目から登場する主題です。これは6小節目の1拍目において全音符で終わります。2つ目は主題というよりはレゾネンス的な副主題で、これが6小節目の2拍目から登場します。1つ目の素材をA、2つ目の素材をBとします。Bは9小節目まで続き、10小節目から再びAが登場します。

一つの演奏方法として、この2つのAとBを完全に別素材として扱い、それぞれの音質を与えてやります。Aは太い音で、Bは囁くように柔らかく弱い音で、といった具合です。Bは16小節目辺りから、次第にcrescendoをして、18小節目において2声になります。そして20小節目において、強い感情表現となり、この曲のクライマックスを迎えます。25小節目においては再びAセクションに戻り、素材AとBが一緒になり曲が終わります。

それではその他、この曲の注意点を箇条書きにしてみます。

 ◉ とにかくcantandoですのでたっぷり、ゆっくり歌うようにします。

 ◉ 最初は3小節目の1拍目右手のFisを頂点にして、そこから徐々に下がっていき、6小節目でオクターブ下のFisにたどり着きます。単純に、Fis E D Cis H A Gis Fis という音階を辿っていると考えて構いません。

 ◉ cantandoで歌うことを考えた時、4小節目1拍目のCis、5小節目3拍目のCis、6小節目1拍目のFisなどにアクセントがつかないようにします。

 ◉ コンスタントに進むバスは、5小節目と27小節目のそれぞれ3拍目のみに変化を見せます。 この2つの音である His と Cis ですが、Hisのほうが非和声音になりますので、Cisがレゾルーション(解決音)になります。音楽的にはとても不気味に弾いてください。

 ◉ 9小節目最後にコンママーキングがあります。これはここで少し時間を取るという意味です。ゆっくり消えてから10小節目に入ってください。

 ◉ 20小節目はやはり、重々しく、弾きづらそうに弾いてください。激しい感情の表れです、あっさりと弾かないように。

 ◉ 22小節目、何が何だかわからなくなりがちな部分です。右手のtopの音をはっきりと出してください。

 ◉ 同じく22小節目、diminuendo e più tranquillo と書かれていますが、これはミスプリントに間違いありません。本来これは23小節目にかかれていて然るべきです。

 ◉ 25小節目の素材Aと素材Bが混ざるところは部分練習が必要になります。Aははっきりと、Bは囁くように弱く弾いてください。それを右手で同時に行います。

 ◉ 28-29小節目はこの曲の終わりになりますが。28小節目から最後までペダルを踏みっぱなしにします。最後にB(シb)とA(ラ)が混ざり、濁りが生じますが、そこがまた一つのミステリーな部分と考えますので、このペダリングで問題はありません。

執筆者: 大井 和郎

楽譜

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