このプレリュード速ければ速いほど良いです。Vivaceという意味は、lively という意味で、必ずしも、テンポを速くという事ではありませんが、このプレリュードに間しては、遅いテンポはNGです。テンポを上げても苦しくないような指使いを考えてください。
そしてもう1つの注意点はメロディーラインです。5小節目、1拍目、ヘ音記号で、Hの付点二分音符から始まるメロディーは他の声部とは視覚上容易に区別することができますね。メロディーラインの音符は、棒が全て上に向けられていますので見ればすぐわかりますね。
さて、このラインの扱いなのですが、5小節目から問題が起きます。10度が届く奏者で無い限りは、上のメロディーラインを音符分伸ばしながら下をスタッカートにはできません。そのような、10度位離れている箇所が結構あります。ここから先は筆者の考え方になってしまうのですが、お聞きください。
例えば5小節目の伴奏形を見る限り、secco (ドライに) と書いてあって、スタッカートマー
キングが付けてあります。楽譜のト音記号とヘ音記号の間には、cantando e ben tenuto il
tema(テーマを歌うようにテヌートで)と書いてあります。そこで、結論的には、書かれているメロディーラインの音価は必ずしも正確に守る必要が無いということです。しかしながら、tenutoとも書かれてありますので、例えば、奏者が10度を届くほどの手を持っていない場合、メロディーラインのHを弾いたらペダルで伸ばします。
ペダルは3拍目切ります。スタッカートは流石にこの辺りから守らなければなりません。従って、3拍目に入れば、メロディーラインは途切れてしまうことになりますが、それでも構わないと思っております。メロディーラインはメロディーラインと判るようにハッキリ聞かせるべく、マルカートにします。それだけでも十分だと思います。ペダルで音価どおり伸ばそうのもならば、左手のseccoとかスタッカートとかが無くなってしまいます。
6小節目、これはオクターブが届けば届きますね。ここはスタッカートを全て守ります。7小節目、筆者の楽譜には3拍目にあるべき4分休符がありません。これは4分休符が初めから書かれていないのか、もしくは、最初のメロディー音である2分音符は実際は付点2分音符で書かれていたか、あるいは、カバレフスキー自身があまり音価に拘りが無かったか、何かですね。この小節もオクターブ以内のリーチですので、スタッカートを守ります。
8小節目も同じ。
9小節目、これも10度が届かない人には難しいですが、メロディーラインの4部音符4つは、短く切ってしまって構いません。
このように、あくまでも伴奏形を優先し、メロディーラインの音価は二の次にするという考え方でその先も同じように進んでください。
曲は、Vivace leggieroと書かれています。この、leggieroを守るためには、ペダルの多用は御法度になります。ですので、伴奏形のスタッカートをメロディーラインの音価よりも優先する事とします。
メロディーラインは33小節目で高いBの音まで上がっていきますが、ここのペダルは例えば、1~3拍間入れて、4拍目はペダルを無し という事もできます。この部分はクライマックスですので、こういう場所はペダルを多用してもおかしくはありません。臨機応変に対応してみてください。