このC-durのプレリュードは、これから先に起こる、激しい曲、滑稽な曲、しめやかな曲、等を全く連想させない、純粋で、ロマンティックなプレリュードです。基本的には「歌と伴奏」とお考えください。多くのプロの演奏を聴きましたが、何故か冒頭3小節間を異常にテンポを上げる奏者がいます。曲全体即興的に、時間を取るところは取るのですが、基本的にテンポは1つにしてください。
曲の性格的には激しい表現ではありませんが、タップリと歌う事が大事です。6~9小節間、
espressivo で多少のルバートをかけて、タップリ歌ってください。7小節目3拍目、歌の部分でオクターブ上の音に飛ぶ際に、時間をかけてください。声楽家は簡単に高い音にリーチ出来ません。その歌唱法を真似ます。
9小節目、何名かのピアニストや学習者はここのリズムを間違えて弾いていました。本来であれば1拍目に8分休符があり、それから16分休符という書法が正しいのでしょうけど、1拍目の8分休符が抜けています。そのためか、1拍目最後の16分音符を32分音符の速さで弾いてしまう奏者がいました。左手8分音符の半分の速さでしかありません。気をつけてください。
4小節目より始まる歌の部分に書かれているいくつかのテヌートマーキングは大事です。そのマーキングがあるところは時間を取るようにします。14小節目、3拍目の歌の部分にCが2つ、15小節目1拍目にもCがきて、Cが3つ並ぶわけですね。このようなところは特に平坦にならないように注意します{同じ音が続くところは、ピアノ曲の場合とても注意しなければなりません。硬く聞こえてしまいます}。
同じく15小節目の最後から右手に6度が始まります。右手で6度を弾いた場合6、下の音は1か2の指で取ることが多く、大きな音になりがちで、バランスが崩れやすい度数です。1と2の指の力を抜き、上の音を出すようにしてください。
19小節目2拍目裏拍より、メロディーラインには、男性のテノール歌手が登場するイメージです。