メンデルスゾーン :ピアノ三重奏曲 第2番 第1楽章 Op.66 Q 33

Mendelssohn, Felix:Klaviertrio Nr.2  Allegro energico e fuoco

作品概要

楽曲ID:38068
楽器編成:室内楽 
ジャンル:種々の作品
総演奏時間:10分50秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

解説 : 丸山 瑶子 (811文字)

更新日:2023年12月19日
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ひと処に留まるよう抑圧された状態の葛藤を思わせる執拗な分散和音の反復から始まる。ソナタ形式ではあるが提示部の反復はなく、また再現部以降の割合が楽章全体に対して非常に大きい。副主題の再現以降、展開部が途中まで再現されてコーダ全体が長大になっているからである(展開部の再現以降、楽章の終わりまでをコーダと捉えるとコーダの小節数が楽章全体の四分の一以上にもなる)。現在の我々が考えるやや定式化されたソナタ形式の枠組みとメンデルスゾーンの頭にある形式理念が別だとすれば、再現部で反復されるべき部分が副主題群の終わりまでとは限らないだろう。ソナタ形式の多様性はこれまでも再三論じられてきたが、この第一楽章の構成は、我々が一般的に抱く提示部、展開部、再現部という区切りを改めて考え直させる。

 主調ハ短調の領域は複数の主題から成り(こうした場合、「主要主題」ではなく「主要主題群」と呼ばれる)、非旋律的で荒々しい分散和音の主題ののちに、ようやくヴァイオリンが旋律的な主題を示す。再び冒頭主題の回帰を挟んで平行調変ホ長調に至ると、弦楽器がメンデルスゾーンらしい伸びやかで明るい副主題を奏でる。

 短い移行部を経て、楽章の冒頭主題によるピアノとヴァイオリンの模倣から展開部が始まる。展開部の書法は再現部にも組み込まれている。例えば楽章冒頭主題の再現では、提示部とは逆に弦楽器が先に分散和音モチーフを示す間、ピアノは展開部において副主題の旋律と共に現れたのとよく似た三連符の分散和音を奏する。そして弦楽器からピアノに主要主題の分散和音が移ると、今度はヴァイオリンがピアノを模倣して展開部冒頭と対応するテクスチュアを作り出しているのである。再現部が提示部と展開部の内容を統合するとも 言えよう。既出素材はコーダでもなお新鮮な形で活用されている。ここではピアノによる楽章冒頭の分散和音主題に、弦楽器が同じ主題を倍の音価で被せているのにも注目を。

執筆者: 丸山 瑶子

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