このトッカータで重要な事は、方向性です。とても短い曲ですが、その中にもピークポイントがいくつかあります。そのピークポイントに向かって行く方向性を出すことが大事です。曲は大きく分けて2つに分かれます。1つめは1~26小節目まで。2つ目は27~62小節目まで、になります。
最初の1~26小節間をご覧ください。このセクションのピークポイントは15小節目になります。
ここに向かうため、1つ目のフレーズが1~6小節間で、一番上の、音が変化する部分がメロディーラインです。2つ目のフレーズは7~10小節間で、1~6小節間との違いは音の違いで、フレーズの最後が1~6小節間はFで終わっているのに対し、7~10小節間はFisで終わっていますね。よりテンションが高くなるところですので、1つ目よりも2つ目のフレーズを大きく弾きます。
11~14小節間は音が上行していきクレシェンドがかかり、15小節目のピークに達するため、テンションを上げる部分です。
ピークポイントを15~18小節間で迎え、19~22小節間、ダイナミックを一段階下げます。
23~26小節間、さらにダイナミックを下げて27小節目で次のセクションに入ります。
故に1つ目のセクションは、山を登って下るようなイメージで強弱を変化させます。
次に2つ目のセクションです。27~32小節間、新たなスタートが始まります。今度は7~10小節間にあったフレーズがなくなっていますね。いきなり41小節目のピークに達するため音が上行し始めクレシェンドをかけ、41小節目に達します。
今度は徐々に下行するのではなく、突然45~48小節間でppになり、カラーが変わり、49小節目においては、今まで出てこなかったフォルテシモが登場します。そしてテンションはそのまま上がり続け、55小節目においてはフォルテシシモに達し、そこから少し60小節目に向けて強弱は下がりますが、再び61~62とフォルテシシモ迎えます。
これらの構造を頭に入れ、方向性を持って演奏してください。