ハイドン :ソナタ 第45番 第1楽章 Hob.XVI:30 op.14-4

Haydn, Franz Joseph:Sonate für Klavier Nr.45  Mov.1 Allegro - Adagio

作品概要

楽曲ID:32212
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:6分00秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

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楽譜情報:6件
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解説 (1)

解説 : 大井 和郎 (750文字)

更新日:2025年3月5日
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まず、このソナタに限らず、他のソナタ等も多く聴き、ハイドンという人の性格をよく知っておくべきかも知れません。中には上品に弾くことが大事な曲もありますが、少なくともこのソナタはハイドンの、ユーモア溢れる一面を表現しなければならず、ただ上品に、正確に弾けば良いというものではありません。 この第1楽章の中には、多くの素材があり、その素材は時に金管楽器のように強く、鋭く、時にはヴァイオリンのように優しく、といった多くの面をはっきりと区別して聴かせなければなりません。つまりは、カラーに乏しく、無難に進んだところで、実に魅力の無い演奏となります。 冒頭8小節を例に取ると、例えば、オペラと考え、何か冗談を言っているような男性が1人居て、4小節目の1拍目までお話しを始めます。次に、4小節目の2拍目から女性が歌い始めますが6小節目の2拍目表拍Cisまでとします。その後、身体の大きな男の人がその後のAから、8小節目1拍目のAまでを歌います。そうすると3人のキャラクターが8小節間を歌うことになり、一人目は一般的な男性が楽しそうに話しかけ、二人目のメロディックな女性の歌声があり、そして3人目はユーモアたっぷりのフォルテで6~8小節間を歌います。最後に左手に、EとAのオクターブがありますが、最後のAに向かってクレシェンドをかけます。最後のAのオクターブが、1~8小節間では最も大きくなります。 13~16小節間は、突然のフォルテで、ハイドン独自の驚きの部分です。同じ素材は提示部の最後の方にも出てきます。

全てを上品に綺麗にまじめに仕上げるのでは無く、このような、ハイドンの驚き、ユーモア、突然のフォルテ、などの楽しさを演奏に含んで欲しいで す。参考の動画としては、エフゲニー・キーシン演奏を是非お聴き下さい。

執筆者: 大井 和郎