ハイドン :ソナタ 第4番 第1楽章 Hob.XVI:G1

Haydn, Franz Joseph:Sonate für Klavier Nr.4 Mov.1 Allegro

作品概要

楽曲ID:32112
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:3分30秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:応用4 応用5 応用6

楽譜情報:5件
  • クリックして画像を開く
  • tab

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (836文字)

更新日:2024年12月16日
[開く]

8小節単位(4小節×2)では収めることの出来ない一風変わった第1楽章です。例えば、テーマはアウフタクトから1小節目に入り、3小節目2拍目表拍の左手Gまでとします。裏拍から出る32分音符の右手は、次のテーマと考えます。そしてこの2つ目のテーマは、5小節目の2拍目表拍の右手GHまでと考え、裏拍から再び3つ目のテーマがスタートし、7小節目の2拍目表拍左手のGまでとします。

奏者はこのように、テーマをいくつかに分ける作業から始めますが、筆者が28小節目までの前半を分析し、テーマを抜粋すると、

1、アウフタクト~3 小節目 2 拍目表拍

2、3 小節目 2 拍目裏拍~5 小節目 2 拍目表拍

3、5 小節目 2 拍目裏拍~7 小節目 2 拍目まで

以下、スタートのみを列挙します。

4、7 小節目 2 拍目裏拍

5、10 小節目 2 拍目裏拍

 

以降、同様に、32分音符が4つ下行する箇所をテーマの始まりと見なします。そうすると、本当に様々なテーマがあることが分かります。例えば2つ目のテーマと3つ目のテーマは始まる音がHからで、同じですが、2つ目は不完全終止、3つ目は完全終止で終わります。奏者はこのように、似ているテーマに関しても両方とも同じように弾くのでは無く、何かしらの差を付けます。

中には完全に同じテーマが出てくる部分もあります。12小節目2拍目裏拍からと14小節目2拍目裏拍からです。このように、全く変わらないテーマが出てきても、同じように扱うことを避け、何かしらの違いを付けてください。

テーマだけに限らず、47小節目と48小節目のような同じ事が2回連続して起こるところも、何かしらの差を付けます。

ピークポイントは、35小節目から徐々にクレシェンドをかけ、テンションを上げ、49小節目で迎えます。それまで、テンションを下げないこと。

この楽章もハイドン独自のユーモラスで楽天的な作風です。楽しく弾くためにはスタッカートを重くしないこと、軽快に弾くことが大切です。

執筆者: 大井 和郎