ショパン唯一のメヌエットとなった楽章。ショパンがこの曲を書いた時は、ベートーヴェンが亡くなって間もなくであり、シューベルトも最晩年にあった。彼らが後半生において、ソナタや交響曲にメヌエットではなくスケルツォを置くことが多かったことを考えると、より興味深い。またそのために、メトロノームの数字が書かれている点で、メヌエットのテンポについて考察する資料としても重要でもあろう。
・冒頭
ピアニズムの点でも独特で、例えば15~21小節には次のような演奏困難なパッセージも現れる。上手く弾くほど難しく聴こえないかも知れない。
・第13~24小節
トリオは主部とは同主調の変ホ短調。なお、トリオ第4小節の和音は従来長三和音(D)と解釈されてきたが、ナショナル・エディションでは自筆譜の額面通り短三和音(Des)が採用され、代案として長三和音が記されている。
トリオの後半はマズルカを思わせる部分もあり、本来のショパンが顔を出したようでもある。
・トリオ冒頭(自筆譜、IMSLPより転載し一部加工)
・トリオ第19~23小節