大変歌心溢れるポロネーズですので、如何に旋律を歌うことができるかがこのポロネーズ を弾くヒントに なります。運命的な1-2小節間、奏者によって様々な演奏があります。リ ズムを徐々に緩くした り、ルバートはかけたりかけなかったり。1-2小節間でメロディー ラインとよばれるラ インは、Cis H A Gis Fisis ですね。筆者であればこのラインを1番強 く演奏しますが、それは 奏者にゆだねられます。3-4小節間、和音の音質が汚いと思った らまず右手の1の指を疑ってく ださい。そして左手は若干右手よりも弱めに弾くと綺麗な フォルテが出せます。右手の1の指は大 きくなりがちですので、少し浮かせるようにして、 力抜きます。
5小節目から歌が登場します。ポロネーズ独特のリズムとしては、左手最初のCisのオクター ブを 弾いた後、できる限り時間を取り、次の16分音符2つをあたかも32分音符の様に詰 めて弾き ます。この5小節目1拍目をメトロノームのように、正しいリズムで弾くと、ポ ロネーズは重たく 固く聞こえます。必ず時間を十分取り、取った分の時間を16分に詰め ます。以降も、6小節目右 手のAまで、音楽を前向きに押します。
Aに達したら今度は逆に、音楽を後ろ方向に引っ張ります。そして8小節目、かなりゆっく りし たテンポで左手が消えていく様子を表現してください。9小節目から2つ目のフレー ズで、1つめ と同じテンションですが11小節目のppでメロディーラインのHは大変重要で す。10小節目で少し だけritをかけ、11小節目でHをよく聴かせてください(聴かせてくだ さいというのは大きい音で ということではなく、ppでも人の耳に大事な音として聴かせ てくださいという意味です)。
9小節目、3拍目の左手表拍は取りにくいですね。それから、10小節目の2拍目と3拍目も リーチ が広いですね。この3つの和音は、右手の力を借ります。それぞれの左手1番上の 音を右手の1の 指で取ってみてください。かなり楽に演奏できるはずです。
学習者がケアレスミスで典型的な場所は12小節目の右手のHisとバスのGisが十分に伸ばさ れてい ないことです。Hisは3拍目のCisに解決しますので、切らずにCisまで伸ばしてくだ さい。バスの gisも同様に次のgisまで伸ばしてください(7小節目の左手Dis とGisも同じで す)。以降、24小 節目まで繰り返しになりますが、2回目は少し表現を変えても良いと思 います。
学習者が技術的に苦労するのは26小節目、28小節目、そして30小節目のそれぞれアルペ ジオの 上行形です。
練習方法です:
1 Cisを4で強く弾いてみましょう。打鍵した瞬間ぐらつかなければ大丈夫です。ぐらつく 場合 は何度も繰り返してみましょう。第1関節第2関節ともアーチ状になっていなければ なりません。 何度も繰り返しているうちにぐらつきが治まります。
2 次にAis(3)からCis(4)の2音を弾きますが、Aisからできる限り速いスピードでCisに行 き ます。その時にぐらつきが無ければ大丈夫です。Cisはフォルテッシモで。
3 次にG(2)からAis、Cisと3つの音を一気に弾いてみます。Cisにたどり着いたときぐらつ きが 無ければ大丈夫です。
4 次に普通に弾いてみましょう。これでも弾きにくい場合は独立の問題が関わってきてい る可 能性があります。担当講師に相談し、然るべき練習方法を教えてもらってください。
さて、26と28を十分練習したら、この2つは、in tempoで軽くさらっと弾きます。特に26 はpで。 28はmfで。この2小節はタイミング通り行きますが、30だけはどうしてもin tempoでは無理 です。音数が多いからです。ここは少し時間をとっても構いません。
それぞれのアルペジオは最後の2つ3つの音がはっきりと聞こえるように弾いてください。 ぼけ た音にならないようにします。徐々にクレシェンドで32小節目に達します。33小節 目、ペダルを 小刻みに何回も踏み換えて少しずつ音を消していきます。一気に消してはい けません。また残しす ぎてもいけません。
34小節目以降、pとマーキングしてあってもたっぷり歌ってください。37小節目に出てく るよう な7連符などの細かい音は時間をたっぷりと取ります。50小節目以降も同じく歌手 に任せて歌っ て欲しいのですが(タイミングは歌い手に任せるという意味)、バランスが重 要になります。8分 音符は拍の表にも来ていますので、音楽が縦割りになりやすくなりま す。できる限りpppで8分音 符を弾くと良いでしょう。
66小節目以降、2重唱とお考えください。1声ずつ別々に演奏してみて、適切なシェーピン グを見 つけても良いと思います。66-69小節間と、70-73小節間ではムードが全く異なり ます。カラー を変えて演奏してください。74小節目ここが最も弱いppの部分になり、ここを起点に徐々にクレ シェンドをかけていきます。