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ショパン :ノクターン第15番 ヘ短調 Op.55-1

Chopin, Frederic:Nocturne No.15 f-moll Op.55-1

作品概要

楽曲ID:23154
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ノクターン
総演奏時間:4分00秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:発展4 発展5

楽譜情報:17件
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解説 (2)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1755文字)

更新日:2018年6月20日
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形式はABAですが、Aセクションが更に、ABABAと分かれています。

 Aセクションは以下に分析されます。

 A  1-8 9-16  B 17-24 A 25-32 B 33-40 A 40-48

最初のAセクション1-16について考えていきましょう。このセクションは、1-8と9-16に分 かれますが、大きな差はありません。従って1-8を例に取ります。この1-8小節間は3つのフレー ズに分割できます。即ち、1-2、3-4、5-8、の3つになります。ここで皆さんと一緒に考えてい きたいことはフレーズのゴールです。たとえば1-2小節間を見たとき、メロディーラインは大雑把 に見ると、F Es Des C の4つの音に分けることができ、これらは下行形になっていますね。ダ イナミック的にどの音が大きくなるのでしょうか?高さから言えばFですし、筆者の持っている シャーマー版には、小さくですがディミヌエンドマーキングが書かれています。ですから、Fに もっとも音量を与え、あとは順次衰退するシェーピングの方法です。これは十分ありだと思います。

もう1つの可能性としてはその全く逆のパターンで、右に行くに従って音量を上げていき、最後の Cに達するシェーピングです。このシェーピングの有効な部分としては、バスの音が導音のEナチュ ラルに達したところが最もテンションの高まるところと感じることができ、筆者個人はこちらの シェーピングを優先したいところでありますが、それは自由です。

仮にシェーピングを、「下行する音階を辿って徐々にクレシェンドをする」と仮定します。2小節 目には最低音のCが1拍目、2拍目、3拍目にあります。どのCが最も大きくなるべきでしょうか? 筆者は個人的には2番目、つまり2拍目のCだと感じていて、3拍目のCは、その前のDesよりも弱 いと感じていますが、それは奏者の判断に任せます。

音楽的に考えたとき、2小節目の1-2拍目は自由に歌う感じが欲しく、ここは即興的に処理されて 良いのではないかと思います。つまりはメトロノームのように弾かないことが、この小節を表現 する手段です。同様に、4小節目も同じなのですが、4小節目は装飾音が付いていますので、なお さら時間を取ります。

 いずれにせよ、2小節目3拍目の2分音符Cは、文章で言えば読点、4小節目も同じです。そして8 小節目のFが文章で言う句点になります。このFは本来であれば和音の解決音でもありますし、フ レーズの最後の音ですので、通常は消えていきますが、そのまえにF-mollという調の話をしなけれ ばなりません。

バッハ以降、f-mollという調はとても特殊な調で、インベンションやシンフォニア、平均律を見て も悲しみに満ちあふれています。ハイドンのf-moll fantasyや、またベートーヴェンの熱情もfmollですね。そしてショパンのバラード4番もそうです。そしてショパンのop 10-9もf-mollです。 このop 10-9 、フレーズの終わりに行くに従って、クレシェンドの指示があります。それを考え たとき、8小節目の最初のメロディー音である、2分音符のFは、このフレーズ内では最も大きな音 量の音の可能性もあります。特に、その前に6小節目に置いてナポリの6が来ていますので、とて もテンションの高まるところです。7-8小節間のメロディーを、As G F と下げていっても構いま せんし、逆にあげていっても構わないと思います。ご参考まで。

さて、Aの中のBセクションである、17小節目からは、筆者の気持ち的に少し前向きに動き始める 部分でもあるような気がします。テンポも本当に若干ですが、前向きに速くなっても良いのでは ないかと思います。17-18よりも、19-20のテンションを高め、20小節目がこれまでで最もテン ションの高まる部分であると判断されますので、音量も上がってしかるべきと思います。

ここから先はその繰り返しですが、同じような演奏にならないように、変化をつけてみて下さい。

48小節目からは、Bセクションが始まります。72小節目までがBセクションになりますが、agitato 的で落ち着かない様子を演出するようにして下さい。

執筆者: 大井 和郎

解説 : 上田 泰史  (1483文字)

更新日:2010年1月1日
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