ショパン :2つのノクターン (第9・10番) 第9番 Op.32-1 CT116 ロ長調

Chopin, Frederic:2 nocturnes (H;As;) Nocturne No.9 H-Dur Op.32-1 CT116

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ノクターン
総演奏時間:4分00秒
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解説 (2)

解説 : 樋口 晃子 (788文字)

更新日:2019年2月9日
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Deux nocturnes op. 32

この2曲のノクターンは1837年に作曲され、初版はパリ(M. Schlesinger, 1837)、ベルリン(A. M. Schlesinger, 1838)、ロンドン(Wessel, 1837)で出版された。

No. 1 ロ長調

このノクターンは他の多くのノクターンとは違って、三部形式をとっておらず、全体の図式は以下のよう示される。

ショパンが2部形式、3部形式、ロンド形式以外で作曲したのは、このノクターンが初めてである。

主題Aは6小節目終わりのフェルマータの挿入によって、考え込むような一瞬の休止が生み出される。フェルマータの前後に配置されたgis(第6小節の右手)とg(第7小節左手)は、和声学においては回避されるべきとされる対斜関係をなしているが、ショパンは旋律の中断を際立たせるためにあえてこのような和声進行を選んでいる。この休止はCにも現れ、何度も繰り返されるので、この曲を強く印象づけるのに一役買っている(譜例1)。

譜例1 第5~7小節

Bでは旋律が右手、左手(音符の旗が上付きに成っている声部)に追加され3声部のポリフォニーを形成する。A’はAと大きな変化はないが、第16小節にはより細分された装飾が施されている。以下、B’、B’’、C’はそれぞれB、Cにわずかに装飾が加えられた変化形である。

第62小節からは、曲想が一変し、不気味な低音連打とレチタティーヴォ風の音型に特徴づけられる劇的なコーダにはいる。第61小節のロ長調のⅤ度は主和音(h-dis-fis)に解決するのではなく、ト長調の属七の第三転回形へと進み、同主調のロ短調へ移る。ショパンのノクターンにおいて、短調の曲が同主長調で終わるという手法はよく用いられるが、このノクターンのように、長調(ロ長調)の曲が同主短調(ロ短調)で終わるという逆のパターンは珍しい。

執筆者: 樋口 晃子

演奏のヒント : 大井 和郎 (1701文字)

更新日:2018年3月12日
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