本作の大きな特徴は、中世ヨーロッパからの教会旋法を取り入れていること、および3声あるいは4声の旋律が重なり合い、対位法的な書法がみられることである。
A-B-A’の三部形式からなる。A部分(1~9小節)の冒頭では、eを主音とするドリア調が用いられており、その第6音であるcis音によって明示されている。8~9小節ではロ短調に転調するも、ここでもドリア調の第6音gisが登場している。冒頭の5度上行する動機は、1、3、7、10、12、26、29(反行形)、32小節目で登場しており、楽曲全体に統一感を与えつつも、それぞれが展開されている。B部分(10~23小節)冒頭は、Aの主題の展開から始まり、14~15、16~17、18~19小節の2小節単位で3つのゼクエンツが登場することにより、「密やかなクライマックス」が演出されている。A’では、冒頭主題が再現されるが、27小節目以降は展開され、最後に同主長調のホ長調で終止する。