リゴドンは、南フランスを起源にもつ民俗舞踊の名称である。ダンスをこよなく愛したフランスの王ルイ14世の時代に様々なダンスが発展した際には、パリやヴェルサイユで、宮廷舞踊としても人気を博していた。一般的に2拍子系(4分の2拍子や4分の4拍子)であることから、リゴドンの振り付けや音楽は、躍動的で、軽やかさを特徴としている。
この曲は、大きく分けてA-B-Aの3つの部分から構成されており、A、Bはそれぞれに異なる性格を持つ。イ短調で書かれているA部分は、右手と左手がそれぞれにメロディを奏で、語りのように滑らかである(1~8小節)。平行調であるハ長調で始まるB部分は、四分音符による左手の和音が右手のメロディの軽快さを助長させ、A部分との対比を際立たせている。