クレメンティ : グラドゥス・アド・パルナッスム 第1巻 Op. 44
Clementi, Muzio : Gradus ad Parnassum, The art of playing on the piano forte, exemplified in a series of exercises, in the strict and in the free style Vol. 1
作品概要
出版年:1817年
初出版社:Clementi, Banger, Collard, Davis&Collard/ Breitkopf&Härtel/ Erard
献呈先:Her Excellency the Princess Sphia Wolkonsky
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:練習曲
総演奏時間:1時間05分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (1)
執筆者 : ピティナ・ピアノ曲事典編集部
(605 文字)
更新日:2010年1月1日
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執筆者 : ピティナ・ピアノ曲事典編集部 (605 文字)
全3巻100曲に及ぶ『グラドゥス・アド・パルナッスム』は、クレメンティの全生涯でのいわば「要石」である。約55年間に及ぶ作曲・改定・編曲の賜物であり、それゆえその内容は極めて多様なものになった。ピアノ特有の「練習曲」に加え、ソナタ楽章やスケルツォ、クレメンティが生涯魅了されていたバッハ風のプレリュードとフーガ、ロマン派を先取りしたかのような題名のついた性格的小品など、彼自身の鍵盤音楽技法の集大成である。また、伴奏に目を向けると、音階やアルペッジョ、ターンやトリル、反復音型、連続3・6度・オクターヴ、和声進行の中からメロディーが浮き出てくる手法などなど、方法の限界まで使い尽くしたかのようである。
1865年頃には、いわゆる「カール・タウジヒ版」が出版された。確かに『グラドゥス・アド・パルナッスム』の大部分は、まさに「練習曲」と呼ぶに相応しいものであるが、この中からタウジヒは最も機械的な指の運動と捉えられるような曲ばかりを29曲選び出し、再構成したのである。残念ながら今日でも、曲集の持つ本来の意味を正確に汲み取っていないこの版が広く普及している。この『グラドゥス・アド・パルナッスム』にクレメンティが託したものは、単に鍵盤音楽に特有な指の動きの訓練ばかりでなく、表現豊かな演奏や対位法的様式の演奏に熟達するための、総合的な音楽性の向上であり、まさに音楽的目的と教育的目的が見事に融合されているのである。
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