ベルリオーズ :夢とカプリス

Berlioz, Hector:Rêverie et caprice

作品概要

出版年:1841年 
楽器編成:室内楽 
ジャンル:★ 種々の作品 ★
総演奏時間:8分00秒

解説 (1)

総説 : 八木 宏之 (943文字)

更新日:2018年3月12日
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《夢とカプリス》はエクトール・ベルリオーズ(1803-1869)が残した唯一のヴァイオリン独奏のための作品である。弦楽器のための作品として、ベルリオーズはパガニーニのために交響曲《イタリアのハリロルド》(1834)を作曲しているが、これはあくまでヴィオラ独奏付きの「交響曲」であり、厳密には弦楽器のための協奏曲ではないのである。それ故に《イタリアのハロルド》はパガニーニを満足させるには至らなかった。それに対して《夢とカプリス》は、ヴァイオリン独奏のための純粋なヴィルトゥオーゾ・ピースとなっている。  この作品にはピアノ伴奏版と管弦楽伴奏版という2つの異なるバージョンが存在するが、ほぼ同時期に出版されており、ベルリオーズ自身もどちらがオリジナルであるかは語っていないため、はっきりしたことはわからない。しかし、ベルリオーズの生前には管弦楽伴奏版の方が頻繁に演奏されており、作曲家自身は管弦楽伴奏版を気に入っていたと考えられる。  この作品はもともと、オペラ《ベンベヌート・チェリーニ》の第一場でテレーザが歌うロマンスとして1836年に作曲されたものであった。しかし、結局そのロマンスは別のアリアに差し替えられてしまったため、1838年から1841年にかけてベルリオーズはそれをヴァイオリン独奏のための作品へと編曲したのである。ベルリオーズはヴォーカル・ラインをほぼそのままヴァイオリンへと置き換えているが、調性はロ短調から嬰へ短調へと変更されており、オーケストラにもピッコロと2本のホルンが加えられている。  ベルリオーズは当初、パリ音楽院時代からの友人であったベルギー人のヴァイオリニスト、アレクサンドル=ジョゼフ・アルトーのためにこの作品を準備していたが、最終的にはデルファン・アラールによって1842年2月にパリで初演された。その後この作品は、フェルディナント・ダヴィット(1843年2月、ライプツィヒ)、ヨーゼフ・ヨアヒム(1854年4月、ハノーファー)、ヘンリク・ヴィエニャフスキ(1867年12月、サンクトペテルブルク)といった名だたるヴァイオリニストたちによって演奏されてきた。しかし今日では、ベルリオーズの多くの作品と同様、その真価ほどには演奏機会に恵まれていない。

執筆者: 八木 宏之
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