作品概要
解説 (3)
演奏のヒント : 大井 和郎
(402 文字)
更新日:2024年5月14日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (402 文字)
仮にこの曲を「指揮」しようとすると、4拍子でタクトを振るので、相当遅めのテンポになってしまいます。そうするとどうしても、生き生きとした雰囲気が作れなく、重々しくなってしまいますので、テンポは幾分早めの方がしっくりと来ます。
この曲の流れで、強弱的に迷うところは、9~14小節間です。この小節間の強弱をどうするか、多くの選択があると思いますが、15小節目がフォルテであるのならば、そこに向かって方向性を付けて、クレシェンドで15小節目に向かう事も1つの考えです。勿論、他にも多くの選択肢はありますが、11~12小節間のシークエンスをどのように処理したら良いのか考えてみましょう。シークエンスは、強弱を変える架け橋のような役割を果たしますので、このシークエンスを利用して、強弱を変えてみてください。
アーティキュレーションは、レガートとスタッカートの違いをハッキリと付けることで、生き生きとした雰囲気が出せます。
解説文 : 熊本 陵平
(748 文字)
更新日:2024年11月14日
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解説文 : 熊本 陵平 (748 文字)
二部形式
A[a(1から4小節)+a(5から8小節)]
B[b(9から14小節)+a1(15から18小節)]
二部形式において、後半B大楽節の終結にa小楽節を配置することは古典派以降の二部形式でもしばしば見られる。a小楽節が終結において再提示されることで統一感をもたらす。
バロック時代特有の構成として、中間楽節で主題再提示の直前に移行楽節を配置することで、中間楽節が肥大化するパターンがある。バッハのインヴェンションにおいても同様に終結部で主題が再提示される直前にゼクエンツなどの反復進行をもつ移行楽節されている。これを独立した「部」と捉える向きもあるが、実質ソナタ形式における推移に役割は近いので、筆者としてはこれを独立した「部」と捉えるにはいささか抵抗感がある。それよりも中間楽節から終結部への接続楽節、いわば中間楽節の一部と捉えた方が合理的だと考える。
しかしながら、b楽節はこのことを鑑みたとき、どちらかというとインヴェンションにおける中間楽節(第二提示部)よりも第一提示部に構成は近い。即ち、9から10小節において新主題の提示が成された後、11から12小節でゼクエンツによって主題展開され、次の13から14小節で一旦の終結(半終止)を迎える。これはインヴェンション一番に見られる第一提示部の流れに近い。
aが完全に反復されるA楽節に比べ、Bでは短いながらも提示→展開→終結という流れを成すことから肥大化したのではないかと考える。
全体を通して、上声と下声で頻繁に模倣は見られず、下声にそれほど旋律的要素は感じられないものの、上下声で不等時(※片方が長い音価の場合、もう片方が短い)関係にしばしばあり、このことから旋律と完全なる伴奏という関係ではなく、下声にも準旋律的な動きは感じられる。
解説文 : 熊本 陵平
(1053 文字)
更新日:2025年1月16日
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解説文 : 熊本 陵平 (1053 文字)
二部形式である。
A[a(1から4小節)+a(5から8小節)]
B[b(9から14小節)+a1(15から18小節)]
・主題の特徴
主題は1から4小節。二部構成になっていて、主旋律は5度上へ跳躍から開始され前半は上行、後半は4度下へ跳躍して下行していく。特徴的なモティーフは、前半部での二つの四分音符と一つの二分音符で構成されるe-h-h(e音からh音へ5度跳躍後、二分音符によってh音が同音反復される。) という音形、そして後半部でeからhへと4度下行していき、四分音符でこの動きが反復される。
この二つのモティーフはやや形を変えてb楽節でも使われていて、例えば9小節目右手主旋律は1小節目のモティーフを、11から13小節では4度下行モティーフがゼクエンツの中で使われている。
こうしたモティーフの展開が行われるからこそ、一見して全く違うメロディが出現してきたように見えても違和感がないのだ。
主題全体の性質として、多くの跳躍進行が含まれるため、軽快でリズミカルな表現を想像することができる。
・構成について
主題はA楽節においては不完全終止となり、B楽節においては全終止となる。
基本的に小楽節4小節単位で構成されているが、b楽節(9から14小節)のみ6小節と肥大している。これは、11から12小節に移行的にゼクエンツが挟まれているからである。バッハのインヴェンションでも、主題再現の前に主調へ戻るためにゼクエンツを用いて移行楽節を形成することがよくある。この11小節からの流れはそれに近い意味合いのものだと考えられる。
・構造について
右手、左手の動きを比べてみると、右手ほどには左手に旋律的な要素は感じられない。このため、基本的に右手が主旋律だと考えられる。一方で、左手は完全な伴奏というわけではなく、左右の声部を見てみると、反進行(二つの声部がお互いに反対方向に進行すること→例:一つの声部が上行すると同時にもう一方の声部は下行する。)と不等時対位(二つの声部が異なる音価で進行する。例:一つの声部が一つの二分音符に対してもう一つの声部が二つの四分音符→1:2の不等時対位)の関係によって構成されていることが多い。
このことにより、左手は主旋律に対する副旋律のように、少しニュアンスをつけて意識して演奏するとより立体的な表現が望まれる。
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