スカルラッティ, ドメニコ :ソナタ K.82 L.30 ヘ長調
Scarlatti, Domenico:Sonata F-Dur K.82 L.30
執筆者 : 丸山 瑶子 (309文字)
K 82 F-dur 3/8 Fuga
4声のフーガ。但し主題呈示後、全声部が休みなく対旋律を継続するのではないため、作品の大半は3声以下で書かれている。展開部は主題が低声に集中し(第49小節d-moll、第64小節a-moll、第80小節C-dur)、第99小節からのストレッタにおいて、呈示部以来、主題が初めて上声に現れる。その後の長い間奏部では主題動機を利用したゼクエンツが展開され、転調プロセスを経て、第161小節で作品最後の主題が主調で現れる。ここでは主題後半部が反復されることで、分散和音と上声のトリルによる主音保続音によって主調回帰が強調されている。曲末では低音のドミナントペダルによって終止が準備される。
ソナタ ヘ長調 K.82 L.30