スカルラッティ, ドメニコ :ソナタ K.61 L.136 イ短調
Scarlatti, Domenico:Sonata a-moll K.61 L.136
執筆者 : 丸山 瑶子 (412文字)
K. 61 ギルバート校訂譜では速度記号なし2/4 a-moll 3:20
555曲のソナタ中で唯一の変奏曲。主題と12の変奏から成り、分散和音やリズム変奏などによって主題が変奏されていく(第12変奏はコーダ。これは楽節構造及び旋律線両者ともに主題からの逸脱が大きいが、終止や旋律線に主題と対応がある)。形式に関して注目すべきは、当初の主題楽段が6+6=12小節であるのに対し、第5変奏以降、各変奏の楽段が5+5=10小節に短縮する点である。こうした楽段構造そのものの変更を含むものの、各半楽節の終止における動機が、部分的ではあれ、大きな変更なしに全曲通して保たれるため、全体の統一と変奏同士の対応関係は強く感じられる。なお第7変奏以降の各楽節頭の低音に、主題の特徴的な付点のリズムが、休符を挟んだ4分音符と8分音符の形で繰返される。その結果、楽節冒頭の低音の基本リズムの違いによって、ちょうど中央で作品全体が二分されている。