スカルラッティ, ドメニコ :ソナタ K.31 L.231 ト短調

Scarlatti, Domenico:Sonata g-moll K.31 L.231

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:5分10秒

解説 (1)

執筆者 : 丸山 瑶子 (712文字)

更新日:2010年1月1日
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1739年にロンドンのクック社から、スカルラッティの初期の鍵盤ソナタが2巻本のソナタ集《42のクラヴサン曲集XLII Suites de Pieces Pour le CLAVECIN》として出版された。これは作曲家の友人であるトマス・ロージングレイブによる海賊版であり、スカルラッティの作品はこの版を初めとして、18世紀におけるオーセンティシティの低い楽譜が出版され続けるようになる。ロージングレイブは、予約者の希望に即したという理由で、曲集の冒頭に自身による導入曲Introdutionを、曲集の途中にアレッサンドロ・スカルラッティのフーガを挿入した。表紙には、出版社自らが既刊行譜の誤りを直したと銘打ってある。この曲集は、Esserciziの30曲とK. 8の異稿、K. 31-42が収録されており、今日K. 31-42にとって最も重要な一次資料となっている。

K. 31 Allegro 2/4-Adagio 3/4-Allegro 2/4 g-moll

全体的に形式の区切りは明確で、重厚な和音を伴う冒頭楽節、両手間の単旋律の交替など、音楽の性格の変化もはっきりしている。このように前後の部分が強く対照付けられる一方、例えばテクスチュアの変わり目において前後の楽節の終りと開始が重なる(ex. 12小節)ことなどにより、音楽は淀みなく流れるように聴こえる。後半は楽章冒頭楽節で始まり、57小節から新たな素材による4小節単位のゼクエンツを経て、前半の推移部(11小節~)が再現する。アンダンテでは、動きは単純だが、拍子の変化や両手の音価の違いに注意が必要。後半の対応箇所は拍子変化を伴わず、2小節単位のゼクエンツとなる。

執筆者: 丸山 瑶子