スカルラッティ, ドメニコ : ソナタ ニ長調 K.23 L.411
Scarlatti, Domenico : Sonata D-Dur K.23 L.411
作品概要
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:5分10秒
著作権:パブリック・ドメイン
ピティナ・ピアノステップ
23ステップ:展開1 展開2 展開3
楽譜情報:3件解説 (2)
執筆者 : 丸山 瑶子
(877 文字)
更新日:2010年1月1日
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執筆者 : 丸山 瑶子 (877 文字)
ソナタ K1. - K.30について
スカルラッティの鍵盤のためのソナタのうち、概ね推定される作曲年代に基づいて番号付けされたカークパトリック番号でK. 1から30まではEssercizi per Gravicembaloとして出版され、騎士階級を下賜された返礼として、ポルトガル王ジョアン5世に献呈された。(なおこの曲集は一般的に《チェンバロのための練習曲集》と訳され、またスカルラッティの鍵盤楽器のための作品は主にチェンバロ用と推定されているが、研究の現状では、チェンバロ以外の鍵盤楽器が完全に想定外であるかははっきりしていない。)これは生前に唯一、作曲家自身が出版した曲集で、その序文は作曲家自身による真正な文書資料としての価値を持つ。
序文では、曲集が演奏技法の修練を目的としていることが示唆され、彼が音楽教師として仕えたマリア・バルバラの日々の練習用という実用的な目的で書かれたと推測できる。作曲年代に関しては、Esserciziはかなり前に書かれたソナタを推敲したものとして、多くの研究者が早期の作曲年代を主張しているが、結論は未だに出ていない。
全30曲の配列は発展的学習を可能とするもので、後の作品になるほど長く、難しくなるよう並べられている。形式は2部形式を基本とする。また作品の冒頭が両手の短い模倣となるのはスカルラッティのソナタに典型的で、多くの場合、模倣となるのは作品の残りの部分の主要素材と見たところは関連が薄いと思われる音形である。
なお序文には曲集全体の音楽的内容に触れた言葉もあるが、その解釈については、序文が謙遜や建前の入りやすい文章であることも手伝って、繰り返し議論されている。
K. 23 Allegro
トリル付きの跳躍動機の活用が注目される。例えば、前半部ではトリル付きの跳躍が転調前に属調を強調する。後半部では前半部におけるトリル動機の楽節が半小節ずれて現れ、第1拍から始まるフレーズのシンタックスを崩す。書法の変化と転調との対応関係(例えば両手が16分音符の装飾音型の連続へ変わるところ)にも構成上の工夫が確かめられる。
解説 : 大井 和郎
(706 文字)
更新日:2026年1月30日
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解説 : 大井 和郎 (706 文字)
上品さと楽しさの両方を感じる事の出来るソナタです。このソナタを演奏するにあたり、最も重要な事は「方向性」を付ける事です。何処に向かっているのか、常に考えるようにして、変化を付けていきます。
このソナタは、例えば、1つのフレーズがあり、テンションはそのフレーズの終わりに行くに従って高くなると言う癖があります。例えば、3小節目だけを見ても、1拍目より2拍目、2拍目よりも3拍目、3拍目よりも4拍目の方がテンションが高くなります。6〜7小節間はそのフレーズが左手に入れ替わっているだけです。
8小節目の3〜4拍間よりも、9小節目の1〜2拍間、9小節目の1〜2拍間よりも、3〜4拍間、9小節目の3〜4拍間よりも10小節目の1〜2拍間と、ピッチがどんどん高くなっていますね。12〜13小節間も、ピッチは下行しているものの、右手の跳躍は徐々に広くなっていき、テンションが高まることがわかります。
これらの例からもわかるように、曲が進行するにつれて、1つのフレーズ内のテンションは上がっていくフレーズが多いです。
奏者はこれらのフレーズの中に方向性を持たせ、いつでもどこかに向かっている感じを出して下さい。決してフレーズが平坦にならないようにします。
テンポやアーティキュレーションは、奏者に委ねられますが、筆者が考えるこのソナタの性格は、とても楽しく、故に、音はあまりレガートにせず、スタッカートやドライな音質を多く用いることで辻褄が合うような気がします。
