スカルラッティ, ドメニコ :ソナタ K.19 L.383 ヘ短調

Scarlatti, Domenico:Sonata f-moll K.19 L.383

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:4分30秒

解説 (1)

執筆者 : 丸山 瑶子 (881文字)

更新日:2010年1月1日
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ソナタ K1. - K.30について

スカルラッティの鍵盤のためのソナタのうち、概ね推定される作曲年代に基づいて番号付けされたカークパトリック番号でK. 1から30まではEssercizi per Gravicembaloとして出版され、騎士階級を下賜された返礼として、ポルトガル王ジョアン5世に献呈された。(なおこの曲集は一般的に《チェンバロのための練習曲集》と訳され、またスカルラッティの鍵盤楽器のための作品は主にチェンバロ用と推定されているが、研究の現状では、チェンバロ以外の鍵盤楽器が完全に想定外であるかははっきりしていない。)これは生前に唯一、作曲家自身が出版した曲集で、その序文は作曲家自身による真正な文書資料としての価値を持つ。

序文では、曲集が演奏技法の修練を目的としていることが示唆され、彼が音楽教師として仕えたマリア・バルバラの日々の練習用という実用的な目的で書かれたと推測できる。作曲年代に関しては、Esserciziはかなり前に書かれたソナタを推敲したものとして、多くの研究者が早期の作曲年代を主張しているが、結論は未だに出ていない。

全30曲の配列は発展的学習を可能とするもので、後の作品になるほど長く、難しくなるよう並べられている。形式は2部形式を基本とする。また作品の冒頭が両手の短い模倣となるのはスカルラッティのソナタに典型的で、多くの場合、模倣となるのは作品の残りの部分の主要素材と見たところは関連が薄いと思われる音形である。

なお序文には曲集全体の音楽的内容に触れた言葉もあるが、その解釈については、序文が謙遜や建前の入りやすい文章であることも手伝って、繰り返し議論されている。

K. 19 Allegro

冒頭から4小節単位の楽節が続き、明解な形式構造を予測させるが、上声が16分音符でとめどなく動き出すと、規則的な楽節構造が崩れてくる。後半は前半の動機に基づくゼクエンツが動きの少ない低声上で続けられた後に、属調から前半部が部分的に挿入される。66小節からの推移は作品中最も重厚な和音を持ち、属音の保続音で前半部の主調回帰を準備する。

執筆者: 丸山 瑶子