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スタマティ :モーツァルト〈カイロの鵞鳥〉より 手紙のロンドー 変奏トランスクリプション Op.52

Stamaty, Camille Marie:L'Oie de Caire de Mozart, rondeau du billet, transcription variée Op.52

作品概要

楽曲ID:16526
出版年:1867年 
初出版社:Heugel
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:パラフレーズ
総演奏時間:5分40秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

執筆者 : 上田 泰史  (709文字)

更新日:2012年12月11日
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作品番号付きで出版された曲の内、スタマティが最後に出版した作品。《カイロの鵞鳥》は、モーツァルトが1783年に三重唱のみを完成させ大部分を下書きのまま残した未完のオペラで、19世紀半ばにドイツのオッフェンバッハにある出版社アンドレから初めて出版された(1855年付けの序文付)。過去の音楽への関心が高まりつつあったこの時期、優れたモーツァルトの伝記作家としても知られる著述家ヴィクトール・ヴィルデール(1835~1892)はこのオペラを「完全」な形で上演したいと考え、モーツァルトの《だまされた花婿》KV430(1785)、ビアンキの《さらわれた村娘》(1785)のためにモーツァルトが書いた「愛しのマンディーナ」 KV480など同時期の他のオペラや重唱から楽曲を借用し、フランス語の歌詞をつけて、2幕の歌劇として1867年にウジェール社から出版した。モーツァルトが未完のまま残したスコアは、ヴァイオリニスト兼作曲家のシャルル・コンスタンタン(1835~1891)によって補完され、同年、ファンテジー・パリジエンヌ座で上演された(右図は上演当時の掲示広告)。このオペラに基づいて、何人かのピアニスト兼作曲家が編曲を書いているが、スタマティは第1幕第5場で歌われるイザベルのロンドを選び、これを主題として変奏を書いた。このロンドはモーツァルトのオペラ《ツァイーデ》KV344(1780)第二幕からの転用である。前半部分はオペラのスコアに忠実な編曲だが、当時の演奏習慣に従って反復の際には多くの装飾やカデンツァが書き加えられている。後半の変奏では右手に置かれた急速なパッセージの中に巧みに旋律を組み込む華麗な技巧を見せる。

執筆者: 上田 泰史 

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