スカルラッティ, ドメニコ : ソナタ イ短調 K.7 L.379
Scarlatti, Domenico : Sonata a-moll K.7 L.379
作品概要
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:5分30秒
著作権:パブリック・ドメイン
ピティナ・ピアノステップ
23ステップ:展開1 展開2 展開3
楽譜情報:1件解説 (2)
執筆者 : 丸山 瑶子
(884 文字)
更新日:2011年9月2日
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執筆者 : 丸山 瑶子 (884 文字)
ソナタ K1. - K.30について
スカルラッティの鍵盤のためのソナタのうち、概ね推定される作曲年代に基づいて番号付けされたカークパトリック番号でK. 1から30まではEssercizi per Gravicembaloとして出版され、騎士階級を下賜された返礼として、ポルトガル王ジョアン5世に献呈された。(なおこの曲集は一般的に《チェンバロのための練習曲集》と訳され、またスカルラッティの鍵盤楽器のための作品は主にチェンバロ用と推定されているが、研究の現状では、チェンバロ以外の鍵盤楽器が完全に想定外であるかははっきりしていない。)これは生前に唯一、作曲家自身が出版した曲集で、その序文は作曲家自身による真正な文書資料としての価値を持つ。
序文では、曲集が演奏技法の修練を目的としていることが示唆され、彼が音楽教師として仕えたマリア・バルバラの日々の練習用という実用的な目的で書かれたと推測できる。作曲年代に関しては、Esserciziはかなり前に書かれたソナタを推敲したものとして、多くの研究者が早期の作曲年代を主張しているが、結論は未だに出ていない。
全30曲の配列は発展的学習を可能とするもので、後の作品になるほど長く、難しくなるよう並べられている。形式は2部形式を基本とする。また作品の冒頭が両手の短い模倣となるのはスカルラッティのソナタに典型的で、多くの場合、模倣となるのは作品の残りの部分の主要素材と見たところは関連が薄いと思われる音形である。
なお序文には曲集全体の音楽的内容に触れた言葉もあるが、その解釈については、序文が謙遜や建前の入りやすい文章であることも手伝って、繰り返し議論されている。
K.7について [Presto] イ短調
前半では途中まで両手の模倣書法と3度ないし6度の平行が中心となっている。作品は比較的長く、左手の幅広い跳躍や、装飾豊かな声部進行による両手の模倣や平行には難易度の少し高い演奏技術が求められる。後半では平行が無くなる代わりに、一様な16分音符の上で上声がトリル付きの動機を繰返すという、新しい2小節単位のゼクエンツが現れる。
演奏のヒント : 大井 和郎
(812 文字)
更新日:2025年12月14日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (812 文字)
このソナタの問題はトリルにあります。多くの学習者は、トリルが出てくるとそこに必要以上に時間をかけてしまい、結果、拍感を失ったり、もう一方の手まで止まったりという現象が起きます。このソナタはプレストですので、トリルをそんなに多く数を入れることは出来ません。例えば、2〜8小節間の1拍目右手にトリルがありますが、4分音符ならともかく、8分音符のトリルはせいぜい3音くらいだと思います(例:2小節目 AHA)。
いずれにせよ重要な事は、トリルの最初の音にアクセントを付けることです。そうする事で、拍感を失わないで済みます。
次の例は、スカルラッティが故意にそうしたのかどうかは定かではありませんが、27〜36小節間に書かれているトリルは、2拍目に書かれてあるトリルもあり、これまでに1拍目のトリルに慣れてしまった耳は、ここで困惑します。
例えば、28小節目を例に取りますが、このトリルは2拍目に書かれてあり、しかも16分音符ですので、どう考えても音は3つが限界になります。
もの凄い速さのトリルで2拍目の16分音符を弾けるのであればそれに越したことはありません(実際、そのように、上手に弾いているレコーディングもあります)。
しかしながら、それが困難に感じる学習者は、この2拍目と3拍目の音符を1つまとめにして、この28小節目2〜3拍間の右手は、CDCHC と、さながら5連符の様に弾くことも可能だと思います。2拍目にCDCH と4つ弾き、3拍目のCで5つ目の音符となって終わります。当然、左手は、EsFEsDEsとぴったり右手に合わせるようにします。
8分音符、または30小節目の様に付点8分音符に書いてあるトリルは、時間が十分ありますので、その必要はありません。
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