平野 一郎 :鱗宮
Hirano, Ichiro:IROKO NO MIYA -for Piano & String Quartet-
執筆者 : ピティナ・ピアノ曲事典編集部 (442文字)
海原を行く籠舟(かごぶね)
水泡(みなわ)に霞(かす)む朱(あけ)の甍(いらか)
海の呪いと青の葬礼
神代(かみよ)の終りと永遠(とわ)の饗宴
* * *
海幸山幸伝説を始め、海と人々を巡る各地の古い物語には、海中の別世界が様々に姿を変えて登場する。そこは煌びやかな宮殿が立ち並ぶ永遠の楽土であると同時に、地上を逐われた魂を封じ弔う場処でもある。
私はそれらの神話や伝説と、各地の海人の祭や歌に触発され、もう一つの異界訪問譚を紡ごうと試みた。曲は、訪問・滞在・帰還に準えた3楽章[I:舟歌(フナウタ)/II:挽歌(ヒキウタ)/III:祝歌(ホキウタ)]から成る。
2006年10月、同年「京都・若い作曲家による連続作品展XXXIII」(京都コンサートホール小ホール)にて堤聡子(Pf)、佐藤一紀(Vn)、 木下真希(Vn)、クリストフ・ブロス(Va)、西谷牧人(Vc)の各氏により初演され、以後再演を重ねている。
演奏時間:ca 25~26min.
編成:Pf/2Vn/Va/Vc
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