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ライネッケ : 4つの小品 Op.241

Reinecke, Carl Heinrich Carsten : Vier Stücke Op.241

作品概要

楽曲ID: 12158
出版年:1898年
初出版社:Rieter(J. Rieter-Biedermann)
楽器編成:ピアノ合奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:11分00秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

解説 : 西原 昌樹 (1119 文字)

更新日:2025年7月24日
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ライネッケは21歳の出世作《アンダンテ変奏曲》(Op. 6)を皮切りに、生涯にわたって2台ピアノ作品を折々に書き続けた。本作は74歳の年に発表したもの。当時は人生50年。これだけでも驚きだが、さらに驚くべきは、この後にもまた別の2台ピアノの大作を書いていること。ピアノデュオに寄せるライネッケの愛着はかくも深かった。本作は全体に簡潔な書法が一貫し、急緩急急の4曲がそれぞれ異なる形で、2台ピアノに固有の音響を追求する。第1曲 練習曲 Etude(Allegro 2/4拍子 ニ短調)は、両パートがモチーフの断片を交互につなぐように弾き合って美しいアラベスク様の織地を編み立てる。第2曲 メヌエット Menuetto(Tempo di Menuetto 3/4拍子 ハ長調)は、初心にかえって伴奏とメロディをシンプルに分担し合い、役割を交替しつつアンサンブルのプリミティブな楽しさを確認する。第3曲 カノン形式のスケルツォ Scherzo in Canone(Vivace ma non troppo presto 3/4拍子 変ホ長調)は早口言葉の応酬を思わせる、タイミングの難しい二拍違いのスリリングなカノン。第4曲 アレグレット・ジョイオーソ Allegretto giojoso(6/8拍子 ト長調)は掛け合いに次ぐ掛け合い、対位法の面白さを心ゆくまで堪能する。チェルニー30番練習曲から40番練習曲の中間くらいの取り組みやすいグレードで、2台ピアノの王道がいかなるものかを無理なく体得できる。一見して何の飾り気もない、どこまでも穏やかな外観に、深い滋味と、品の良いユーモアがにじみ出る。この境地に至るまでいったいどれほど真摯に研鑽を重ねてきたことか。弾き込むほどに、巨匠らしい磨きぬかれた書法に圧倒される。ドイツロマン派の2台ピアノの名作はシューマンとブラームスとレーガーだけではない。重厚長大は、決して名作の条件にはならない。出版譜の表紙の献辞に「ハインリヒ・オルデンシュタイン教授に捧ぐ」(Herrn Professor Heinrich Ordenstein / zugeeignet)とある。オルデンシュタインはライネッケの弟子でカールスルーエ音楽院の創立者。親子ほど歳の離れた教え子の大成を喜び、対等な音楽家、教育者として惜しみなく敬意を表する。こんなところにもライネッケの温厚篤実な人柄がうかがえる。

執筆者: 西原 昌樹

楽章等 (4)

練習曲

調:ニ短調 

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メヌエット

調:ハ長調 

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