作品概要
楽曲ID:1107
作曲年:1972年
初出版社:Schott
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:性格小品
総演奏時間:7分00秒
作曲年:1972年
初出版社:Schott
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:性格小品
総演奏時間:7分00秒
解説 (1)
解説 : 飯田 有抄
(598 文字)
更新日:2010年1月1日
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解説 : 飯田 有抄 (598 文字)
更新日:2010年1月1日
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この作品は1972年、ピアニスト高橋アキのために作曲された。
楽曲の冒頭はFの単音連打から始まり、次第に短2度、減3度のトレモロへと、音程、強弱、速度を微妙に変化させながら広がりを見せてゆく。"as fast as possible"(可能な限り早く)と指示書きされた不規則で不協和な単音のパッセージがあるかと思えば、やはり不規則な並びの音列が右手と左手がそれぞれ、4連符と5連符、または6連符と8連符で同時に奏すことを要求する。時折切り込みを入れるような激しい和音がfffで鳴り響く。音響的にも緊張感のみなぎるこの作品は、文字通り鍵盤上で演奏者がなしうるあらゆる技術と集中力とを強いる。
なぜこれほどまでに高度な技術のオンパレードに作曲家はこだわったのだろうか。実はこの作品には「今、日本の中で内部奏法が殆ど拒否されていることへの抗議と皮肉がこめられている」(作曲者の言葉)のである。内部奏法とはピアノの弦に直接ふれたり、弦にボルトやゴムを挟み込んで演奏する類の方法である(ケージのプリペアド・ピアノが有名)。この曲が書かれた70年代は、日本ではピアノを備品として管理するホール側(つまり内部奏法などけしからんとする立場)と、新しい音響を追求しようとする作曲者側とで意見の対立が激しかったのだ。あくまで鍵盤上に制限した湯浅の「皮肉」が生み出したこの曲は、ある意味歴史的な産物といえるのかもしれない。
執筆者:
飯田 有抄
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