1884年頃、20代の時の作品。ピアニストとして華々しい活動を始める前で、ピアノ、作曲を熱心に学んでいた時期である。とはいえ、すでにピアノ教師でもあり、リヒャルト・シュトラウス、アントン・ルービンシュティン、サラサーテといった当時の著名な音楽家と親交を結んでいた。この時期に築いた貴重な人脈・経験は、作曲家、演奏家、指導者としての彼の素質をより培うこととなる。その後まもなく、ピアニストとして大変な人気が彼を待っていた。
「5月のアルバム」を含む初期の作品は、標題的なタイトルの付けられているものが多い。民俗的旋律の使用、創意に富んだ情景描写といった特徴がある。このスケルティーノは、タイトルらしいさわやかな作品。軽やかな旋律が高音の装飾に彩られ、中間に漂うような重音とアルペジオがはさまれる。
1.夕べに / op.10-1 "Au soir"
2.愛の歌 / op.10-2 "Chant d'amour"
3.スケルツィーノ / op.10-3 "Scherzino"
4.舟歌 / op.10-4 "Barcarolle"
5.ヴァルス・カプリス / op.10-5 "Valse caprice"