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サラマン 1814-1901 Salaman, Charles

  • 解説:上田 泰史  (1938文字)

  • 更新日:2018年3月12日
  • チャールズ(・ケンジントン)・サラマン, Charles (Kensington) Salaman, (1811年3月3日、ロンドン生~1901年6月23日、ロンドン没)  イングランドのピアノ奏者、作曲家、音楽学者。祖先はドイツとオランダの血を引く。曽祖父のサラマン・サラマンはデッサウに生まれ、プロイセンでモーゼス・メンデルスゾーン(フェリックス・メンデルスゾーンの祖父)と知己だった。ベルリンで生まれた祖父の代でイギリスに住むようになり、ケンジントンで父シメオンが生まれた。母方の祖父ヘンリー・コーエンはオランダのハーグ生まれで、イングランドに移住してエドマンド・バークらと交流する教養人だった。その息子、アイザック・コーエン(サラマンの叔父にあたる)は、文学愛好家でチャールズを芸術界に紹介し、その娘(サラマンの母)は、優れたピアニストとして、サラマンにピアノを教えた。  サラマンは、1824年から26年まで王立音楽アカデミーに学び、次いでベートーヴェンと交友のあったチャールズ・ニート(1784~1877)に師事。28年から29年にかけて、パリでアンリ・エルツに師事。彼が初めてピアニスト兼作曲家として公開演奏会に登場したのは1828年のことで、自作歌曲を上演し、やがて独奏者としても公演を行うようになる。 33年5月30日に、ハノーヴァー・スクエア・ルームズで主催したコンサートを皮切りに、37年までロンドンで毎年、声楽・器楽コンサートを開き、自作の他、メンデルスゾーンモーツァルトヴェーバーのピアノ協奏曲を上演した。1844年には自宅で古典室内楽コンサートを主催した。1835年にはロンドンのウェスト・エンド地区で初めて結成された室内オーケストラ、コンチェルティ・ダ・カメラで演奏し、36年にはメンデルスゾーンの《弦楽八重奏曲》作品20をイギリス初演した。  1830年、彼はストラトフォード=アポン=エイヴォンで行われたシェークスピア記念祭のために頌歌を作曲し、彼の指揮で上演された。30年代後期には最初の歌曲集が出版された。38年から40年にかけて、サラマンはザルツブルク、ヴィーン、ミュンヒェン、その他の欧州諸都市で演奏し、46年から48年にかけてローマに居を定め、活動した。滞在時、彼は46年にサンタ・チェチーリア・アカデミー及びローマ・フィルハーモニー教会の名誉会員となり、2年後、指揮者として、ベートーヴェンの交響曲第2番をローマ初演した。ヨーロッパ旅行を経て、彼はモーツァルトの元妻コンスタンツェとその息子、シューマンチェルニータールベルクといった著名な音楽家たちと知己を得た。  帰国後、ベートーヴェンの《ピアノ協奏曲第1番》を上演。この時期から、サラマンは音楽史に学術的関心を寄せ、51年から53年にかけて存在した、ロンドン音楽院(Musical Institute of London)の研究員となった。1855年、彼はロンドンと地方でピアノの歴史やその他音楽に関する講義を開始した。この講義は大いに評判を博し、ヴィクトリア女王、アルバート公子とその子どもたちに私的に招かれて講義を行い、古楽器を上演した。彼はまた、1858年に設立されたロンドン音楽協会(Musical Society of London)の創設者の一人であり、58年から65年にかけて秘書を務めた。74年、彼は音楽協会(Musical Association)の創設にも寄与した(77年まで秘書、77-87年まで副会長)。  サラマンには、ピアノ曲(パリでは全く出版されなかったと見られる)のほか、ベートーヴェン、モーツァルト、メンデルスゾーン、その他の作曲家の校訂楽譜がある。だが、生前、彼の成功を保証したのは彼の歌曲だった。ホラティウス、カトゥルス、メタスタージオ、バイロンらの詩に基づく歌曲は200曲以上にのぼる。この他に、詩篇曲、アンセム、ユダヤ教の典礼用音楽がある。ユダヤ人の一家に生まれた彼はロスチャイルドを学友に持ち、著書『ユダヤ人の実像Jews as they are』(1882, フェリックス・メンデルスゾーンの祖父、モーゼス・メンデルスゾーンに献呈)は、イギリスにおける反ユダヤ的偏見に対抗する試論で、ユダヤ教を捨てたメンデルスゾーン家を擁護している。 <参考文献> New Grove Online Devonshire, “Charles Salaman”, The Musical Times and Singing Class Circular, vol. 42, No 702, Aug. 1, 1901, p. 530-533.

    執筆者: 上田 泰史 
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