スカルソープ 1929-2014 Schulthorpe, Peter
解説:オーストラリア音楽センター (974文字)
更新日:2010年1月1日
解説:オーストラリア音楽センター (974文字)
1929年、タスマニア州ローンセストン生まれ。ローセストン教会グラマースクール、メルボルン大学およびオックスフォード市のウォドム・カレッジで教育を受ける。1963年以来教鞭をとっているシドニー大学では、現在名誉教授として就任。オーストラリア国内外を問わず、音楽機関や大学などでも教えている。またタスマニア、メルボルン、サセックス、グリフィスおよびシドニーから名誉学位を授かっている。1977年には大英帝国四等勲士に指名を受け、また同年シルバージュビリーメダルを授与。1990年にオーストラリア第四勲爵士に指名される。
スカルソープの作品は350曲を越える。若い頃のものを除いて、多くの作品が世界中で頻繁に演奏され、録音されている。スカルソープは様々な形式の作品を書き続けてきた。彼の音楽の大半はオーストラリアの社会的風潮や風土的特徴に影響を受けている。また、アボリジニやトレス海峡諸島の音楽、インドネシアのガムラン音楽も彼の音楽語法に決定的な影響を与えてきた。
スカルソープは自国オーストラリアとその風景に深い愛情を抱き、それらを神聖なものと考えている。それゆえ彼の芸術活動の中で変わらないテーマの一つは、オーストラリアそして地球全体の環境保護である。人の脆さに対する強い意識は、合唱曲《レクイエム》(2004)や弦楽四重奏曲第16番(2006)といった作品に表れている。前者はイラク戦争で殺された女性や子供、後者は自由を奪われた人々の苦しみに捧げる想いから生まれた作品である。
スカルソープは数々の賞を受賞しているが、1997年にオーストラリア人間国宝100人(National Trust of Australia)、2001年ISPA優れた芸術家(International Society for the Performing Arts, Distinguished Artist)、2003年アメリカ芸術文学アカデミー、名誉海外会員(American Academy of Arts and Letters, Honorary Foreign Life Member)、および2006年ブルティン誌「最も影響力のある100人のオーストラリア人」(The Bulletin magazine)に選ばれたことを非常に重要なこととして受け止めている。