バイノフ 1958 Baynov, Tomislav
解説:ピティナ・ピアノ曲事典編集部 (803文字)
更新日:2013年1月15日
解説:ピティナ・ピアノ曲事典編集部 (803文字)
トミスラフ・バイノフは1958年、ブルガリアのソフィアに生まれた。4歳の頃より、祖父と祖母~ピアニストのリリアナ・バイノフ~によりピアノの手ほどきを受け、6歳の時にはプロワディアでの国内音楽コンクールで一等賞を得た。
高校卒業後、彼はソフィア音楽アカデミーのコンスタンチン・ガネヴィン教授のもとでピアノを学び、同時に作曲も学んだ。1981年にはドイツへと移り、トロシンゲンの音楽大学で学業を修め、有能なJohan de Beek教授のもとで1991年には卒業試験に通過し、コンサート・ディプロマを取得した。
バイノフは複数の国際コンクールの覇者である。トロシンゲンでの教職とドイツ国内で複数のマスタークラスを担当。ソロ、室内楽、オーケストラとの共演を五大陸すべてのおいて演奏した。
1989年に「バイノフ・ピアノアンサンブル」を設立し、複数台のピアノのための珍しい作品に注力することとなった。バイノフは作曲家としての活動をここに見出した。3台のピアノ、鐘、タムタムのための"H-Ais-F-E ? Meditation"を含む自作品に加え、2台から6台のピアノのためのファリャ≪火祭りのおどり≫、ガーシュイン≪ポーギーとベス≫、Dinicu / Wladigeroffによる≪Hora staccato≫、バッハによる≪4台のチェンバロのためのコンチェルト イ短調≫等の編曲にも取り組んでいる。
一方で、複数人数による連弾作品の創作にも精力を注いでいる。シチェドリンの≪ユモレスク≫、シュトラウス≪トリッチ・トラッチ・ポルカ≫、“Rapsodie Vardar”の編曲、自作の6手連弾“Metrorhythma I ”がある。この8分の15拍子という変則的なリズムをもつ作品は、奏者および聴き手に彼の母国ブルガリアを想わせる。彼の作品やその他の編曲等は「バイノフ・ピアノ・アンサンブル」によってCD録音されている。