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ロゼラン 1811-1876 Rosellen, Henri

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  • 解説:上田 泰史  (1375文字)

  • 更新日:2018年3月12日
  • アンリ・ローズラン Henri Rosellen 1811.10.13 パリ生-1876.3.20 パリ没  フランスのピアノ奏者、作曲家、教育者。楽器製作者の父の下に生まれる。1823年10月にパリ音楽院に入学、ソルフェージュのクラスに登録し、翌年、ピアノおよび和声・実践伴奏クラス(スコアリーディング)の両クラスに登録。ピアノ科ではまずルイ=バルテルミー・プラデールLouis-Barthélemy Pradher(1782-1841)に師事。彼のクラスで2等賞を得るが、28年1月にプラデール教授が引退すると、ヅィメルマン教授のクラスに移り、29-30年度まで在籍。1等賞を得ないままピアノ科を去る。一方、30年にはソルフェージュクラスで助手を務め、学生としては、和声・実践伴奏のクラスで28年に2等賞を獲得、引き続きフェティス、次いでアレヴィに和声・対位法を(1828~33)、ベルトンに作曲を師事(1832~35)して音楽院の学業を終えた。音楽院の外では、アンリ・エルツの指導も受けた。  ローズランはその後、パリでピアノ教師、作曲家、ピアニストとして生計を立てた。速筆のローズランは、生涯に作品番号にして194番までの作品を出版した。その大部分はオペラやバレエの主題に基づく幻想曲であり、学習者向けの平易なものから、自身の演奏能力を最大限に引き立てる高度なレベルのものまで、多岐に亘る。これらの多くは、同時、好んで上演されていたベッリーニドニゼッティ、ヴェルディ、ドゥルドゥヴェーズといった作曲家の作品に基づくもので、出版社からの依頼によって書かれたとみられ、実際、出版社に多くの利益をもたらした(フェティスによれば、出版者たちはローズランを彼らの「救世主」と呼でいた)。  ローズランの作品は、1歳年長のタールベルクに劣らぬ絢爛たる技巧を駆使し、品位を落とすことなく仕上げられている。オリジナルのピアノ独奏作品においては、《12の華麗な練習曲》作品60(フェティスに献呈, 1844)、《ノクターンとタランテラ》作品92(1847)、《バラード》作品132(1852)、《ソナタ》作品172(1861)が特筆される。また、出版された唯一の室内楽としては《ピアノ三重奏曲》作品82(1846)が、ソナタとともに厳格な作曲学習の成果と自身の華麗なピアニズムの融合を代表している。教育的著作としては『ピアノ・メソッド』作品116(1849)、解剖学的見地からの考察を含む『ピアニストの手引き』がある。この他、作品番号なしで出版された多数の編曲作品(独奏、連弾)がある。 参考文献 -François-Joseph Fétis, « Rosellen (Henri) », Biographie universelle des musiciens et bibliographie générale de la musique, vol. 7, Paris, Firmin-Didot, 1878, p. 311. -Philippe Morant, « Rosellen, Henri », Dictionnaire de la musique en France au XIXe siècle, Paris, 2003, p. 1088.

    執筆者: 上田 泰史 
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