2台ピアノ4手用のオリジナル作品。作曲者の生家リコー家の父方はフランスのピレネー地方にルーツを持ち、19世紀半ばにアメリカのニューオーリンズに渡った移民の末裔であるという。本作は、作曲者がピレネーに残る親類縁者を訪ね、交流を持った経験から生まれた作品。大西洋をはさみ、ピレネーとアメリカに離れて生きる一族の者たちに本作を捧げるとしている。3/4拍子、アレグロで開始。ほの暗い情熱を秘めた民謡風の複数のメロディを主軸に据え、ロマンティック、ダイナミックに展開する。全体にフランス印象派の影響が濃い。個々のパートはチェルニー40番練習曲程度の技術で弾きやすく、2台ピアノの迫力ある音響とオーソドックスなアンサンブルが手軽に楽しめる。