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パスカル :動物たちの行進

Pascal, Claude:Marche des animaux

作品概要

楽曲ID:92067
出版年:1950年 
初出版社:Pierre Noël (のち Billaudot)
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:種々の作品
総演奏時間:1分30秒
著作権:保護期間中

解説 (1)

解説 : 西原 昌樹 (891文字)

更新日:2024年12月25日
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リュセット・デカーヴ(Lucette Descaves)監修の初中級の学習者向き曲集「レ・コンタンポラン」(Les Contemporaines 現代の作曲家たち/全4巻)の第1巻所収。デカーヴは特に現代曲を得意としたピアニストであったが、教育者としての評価も高く、パリ音楽院ピアノ科の彼女のクラスは多くの俊英を輩出したことで知られる。こうした意欲的な出版企画も、デカーヴの広い人脈と卓越した指導力により実現したものといえよう。フランスのこの種の曲集として、日本ではルモワンヌ社の「子どもの庭」(Jardin d’Enfants)や「カイエ・ド・ルモワンヌ」(Cahier de Lemoine)などが普及しているが、全4巻で60余名もの第一線の現代作曲家の質の高い作品が集められた本曲集の教育的な実用性、芸術的な価値の高さにあらためて着目したい。

パスカルは1949年12月に書いたピアノ組曲「動物の庭」Jardin zoologique(未刊)の終曲を提供した。この組曲は5つの小品(「キリン」「象」「カバ」「警備員」「ライオン、虎とその他の主たち」)からなるが、提供にあたり終曲のタイトルが変更された。曲想の把握には変更前の当初タイトルも参考になる。Mouvement de Marche(行進曲の動きで)。4/4拍子、変ホ長調。とぼけたようなファンファーレが開幕を告げ、百獣の王ライオンを筆頭に大小さまざまな動物たちがにぎやかに練り歩く。低音に獅子王の咆哮を短く聞かせるなど、サン=サーンス「動物の謝肉祭」を思わせるのもご愛嬌。グレードはブルグミュラーの終盤くらい。ダニエル=ルシュール(Daniel-Lesur)は曲集の序文の中で、本作品について「サーカスの住人全員(四足動物たち)がパレードする様子がきこえる。左手の動きに注意すれば、動物たちが通り過ぎるのがわかるだろう。楽しい曲だ」と紹介した。

執筆者: 西原 昌樹
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