ジェローム・カーンのミュージカル、映画音楽の代表的なナンバーをピアノソロにアレンジしたもの。カーンの「ショーボート」は真にアメリカ的な最初のミュージカルとされる歴史的名作。ほかにも多くのカーン作品は長く親しまれ、そこから派生したジャズのスタンダードナンバーでも知られる。クラシック畑の者がガーシュウィンやバーンスタインを演奏するにあたっても、源流に位置する重要な音楽の一つとして知っておいて損はない。
ロシェロールにとってカーンは子供の頃の家族団らんの温かい記憶と結びつくもので、このアルバムを両親との思い出に捧げた(献辞「両親グスターヴ・リコーとキャサリン・シュリーゲル・リコーの愛すべき思い出に。歌とピアノが組み合わさった二人の才能により、私の幼い年月はジェローム・カーンの音楽に満たされた」)。舞台のシーンや歌詞の心を丁寧に汲み上げ、弾きやすさと聴きばえにも配慮した名アレンジぞろい。いずれも心なごむ温かみにあふれる。いたってシンプルな作りなのに繰り返し弾いても飽きが来ないのは、ロシェロールの優れたセンスとカーンに寄せる思い入れの深さゆえであろう。
第1曲 ビル(「ショーボート」より) Bill [from SHOW BOAT] (Words by P. G. Wodehouse
and Oscar Hammerstein II) Moderately fast, 4/4, A major
第2曲 君は我がすべて(「5月にしては暖かい」より) All The Things You Are [from VERY
WARM FOR MAY] (Words by Oscar Hammerstein II) Moderately, 2/2, G flat major
第3曲 愛さずにはいられない(「ショーボート」より) Can’t Help Lovin’ Dat Man [from
SHOW BOAT] (Lyrics by Oster Hammerstein II) Leisurely, 4/4, D major
第4曲 星に語れば(「空飛ぶ音楽」より) I’ve Told Ev’ry Little Star [from MUSIC IN THE
AIR] (Lyrics by Oscar Hammerstein II) Moderately, 2/2, D major
第5曲 雨の朝パリに死す(「レディ・ビー・グッド」より) The Last Time I Saw in Paris
[from LADY, BE GOOD] (Lyrics by Oscar Hammerstein II) Moderately, 2/2, C major
第6曲 空想してごらん(「ショーボート」より) Make Believe [from SHOW BOAT] (Lyrics
by Oscar Hammerstein II) Moderately fast, 2/2, G major
第7曲 オールマン・リヴァー(「ショーボート」より) Ol’ Man River [from SHOW BOAT]
(Lyrics by Oscar Hammerstein II) Moderately, 4/4, C major
第8曲 煙が目にしみる(「ロバータ」より) Smoke Gets In Your Eyes [from ROBERTA]
(Words by Otto Harbach) Moderately, 4/4, D major
第9曲 フー(「サニー」より) Who? [from SUNNY] (Lyrics by Otto Harbach and Oscar
Hammerstein II) Moderately, 2/2, C major
第10曲 今宵の君は(「有頂天時代」より) The Way You Look Tonight [from SWING
TIME] (Words by Dorothy Fields) Moderately fast, 2/2, E flat major