リチャード・ロジャース作曲、オスカー・ハマースタイン二世作詞のミュージカルの最も

メジャーなスタンダードナンバーをロシェロールがピアノソロ用にアレンジしたもの。こ

のくらい有名なナンバーになると、クラシック畑の者も音楽的な一般常識としてひと通り

は知っておきたいもの。チェルニー30番のレベルで、弾きやすく簡潔にまとめられている

。原作のシーン、歌詞、音響を最大限に尊重し、余計な潤色を控えているのもよい。ロシ

ェロールが本場ブロードウェーの舞台やミュージカル映画にリアルタイムで親しんできた

からこその説得力であろう。ロシェロールのアレンジになじんでおくと、例えば日本で大

手の商業ミュージカルの実演などに接する際にも、驚くほど見通しよく音楽全体を俯瞰し

た聴き方ができるようになり、ライブの楽しみは何倍にもふくらむ。