比較的規模の大きい二つのメドレーよりなる。弾きやすく書かれているが、難度はやや高めで、チェルニー40番練習曲程度。「エクストラヴァガンザ」は辞書的に言えば種々の楽曲の寄せ集めの意。ガヤガヤした賑やかさ、ごった煮のような雑多さなどのニュアンスがあり、日本語では「豪勢」という感じ。そのイメージ通り、耳なじみのあるメロディが自由に変形され、くだけた表情で次々に登場する。
第1曲「アメリカン・メドレー」。愛国歌、民謡、俗謡をベースに、アメリカ国歌まで顔を出す。開始部はアンダンテ、4分の4拍子、イ長調。アメリカ人には今さら説明の必要もあるまいということらしく、譜面には個々の曲名の記載がないが、便宜のため以下に記しておく。
リパブリック讃歌 The Battle Hymn of the Republic
ディキシー Dixie
線路は続くよどこまでも Working on the Railroad
ヤンキードゥードゥル Yankee Doodle
アメリカ・ザ・ビューティフル America the Beautiful
星条旗(アメリカ国歌) The Star-Spangled Banner
おおスザンナ(フォスター) Oh! Susanna (Foster)
オクラホマ・ミキサー Turkey in the Straw
金髪のジェニー(フォスター) Jeanie with Brown Hair (Foster)
草競馬(フォスター) Camptown Races (Foster)
第2曲「マザー・グース・メドレー」。童謡、わらべ歌、子守唄の総まくり。開始部はModerately fast、4分の4拍子、ヘ長調。日本でなじみのない歌は原題のみ記す。
ロンドン橋落ちた London Bridge is Falling Down
ティスケット・タスケット A Tisket a Tasket
谷間の農夫 The Farmer in the Dell
メリーさんの羊 Mary Had a Little Lamb
アルファベットの歌 ABC Song
ロッカバイ・ベイビー Rock-a-bye-Baby
Silly Halloween Song
No No Swimming Song
Little Boo Beep
全体にスピーディーな展開で飽きさせず、人を喰ったようなスパイスもご愛嬌。第2曲の中盤以降、意外なほどロマンティックに傾く曲調も聴きごたえがある。