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グルリット, コルネリウス :20のやさしい小品集 10.眠たい歌 Op.155-10

Gurlitt, Cornelius:20 leichte liebliche Klavierstucke 10.Schlafrig Liedchen Op.155-10

作品概要

楽曲ID:49948
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

解説 : 熊本 陵平 (511文字)

更新日:2025年5月30日
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ニ長調、序奏とコーダ付きの二部形式である。

序奏部(1から4小節)

A[a(5から8小節)+a1(9から12小節)]

B[b(13から16小節)+終結c(17から20小節)]

コーダ(21から25小節)

拍子は2分の2拍子、アラブレーヴェとして表記されている。序奏部冒頭では2拍目の短三和音があたかもト短調の主和音のように聞こえ、短調であるかのような出だしだが、この和音の正体は準固有和音Ⅳのサブドミナントである。

このように1から2小節でははっきりとはしない調性感も3から4小節でニ長調特有の固有音を含んだ音形が形成されると長調として明確な明るさを帯びてくる。さながら夜明けの風景を思う起こさせる。

主題部Aでは大きな動きはなく、主音が保続音となっており、2度進行の緩やかな動きから作品タイトルのニュアンスが感じられる。小楽節bは跳躍上行するが、これは背伸びをしている情景描写だろうか。小楽節c後半で序奏部で使われた準固有和音Ⅳが再び使われてコーダへ向かう。ニ長調主和音の響きの中で緩やかに上行して終結する。全体的に楽曲中の和声やモティーフの動きが情景を思い起こさせやすい楽曲であり、ユニークな作品タイトルと繋げて演奏表現を考えたい。

執筆者: 熊本 陵平
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