close

グルリット, コルネリウス :こども音楽会 聖歌 Op.210-5

Gurlitt, Cornelius:Der erste Vortrag Hymne Op.210-5

作品概要

楽曲ID:48783
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

解説 : 熊本 陵平 (545文字)

更新日:2025年5月30日
[開く]

ハ長調、二部形式である。

A[a(1から4小節)+a1(5から8小節)]

B[b(9から12小節)+終結b1(13から16小節)]

主題は1から4小節。興味深いのは、不完全カデンツとしてサブドミナントⅣで開始されていることである。古典派までは、不完全カデンツの運用といえば、ドミナントがその開始和音であったが、ロマン派においてはサブドミナントも不完全カデンツの開始和音に使われるようになったのである。

 一方で、この開始は、ハ長調というより、f音を終止音とするリディア調を思わせる。聖歌というタイトルから、こうした部分的に教会旋法を感じさせるようにあえて作られたのかもしれない。

 楽節bでは主題のリズムを使って展開している。和声は半音階に下行していくわけだが、9から10小節はト長調に部分転調してⅠ→Ⅴで和声が緊張に向かうのに対して、11から12小節では準固有和音Ⅳ6→Ⅰ和音によって和声解決されている。つまり、同じ半音階進行にあって異なる二つの和声関係にある。こうした細やかな変化をどのようにしたら表現できるか考えたい。

執筆者: 熊本 陵平

楽譜

楽譜一覧 (5)