作品概要
解説 (2)
解説 : 安川 智子
(1095 文字)
更新日:2019年1月31日
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解説 : 安川 智子 (1095 文字)
《円舞曲Valse》 ヘ短調 作品70-2 没後出版
【作品の基本情報】
作曲年:1842 出版年:1852 (Krakow), 1855 (Paris, Berlin)
献呈:複数の献辞あり(本文参照)
【楽譜所収情報】
パデレフスキ版:No.12(フォンタナ版), No.12bis(手稿譜に基づく)/
エキエル版:(WN55) [B]-8a番 [ウーリ夫人宛ての手稿譜に基づく], [B]-8b番 [エリス・ガヴァール嬢宛ての手稿譜に基づく], [B]-App.8番 [ポーランド初版に基づく]/コルトー版:No.12/ヘンレ版:No.12a [エリス・ガヴァール嬢宛ての手稿譜に基づく] , No.12b [フォンタナ版] /ペータース版:(No.16a [エリス・ガヴァール嬢宛ての手稿譜に基づく], No.16b[ロスチャイルド家の手稿譜に基づく、各ヴァリアントを含む] , No.16c[ポーランド初版に基づく])
1855年にフォンタナによって作品70の3曲がまとめて出版されたことから、本作品は70-2として知られているが、近年では、これら3曲を別々の作品として扱っている。また1852年にポーランドで初版として出版された時は、《ワルツ》ロ短調(作品69-2)と合わせて「ふたつの感傷的なワルツ」として出版された。
自筆譜は5点残されており、それぞれ別の女性に献呈されている。日付の付いているものはそのうち2点であり、ウーリ夫人に宛てたもの(1842年12月10日)とマリー・ド・クリュントネル嬢に宛てたもの(1842年)がある。ただしクリュントネル嬢への献辞は、日付が不明瞭であり、諸説ある。ロンドンのウーリ夫人宛ての自筆譜については、書簡も残されている。「小さなワルツはあなたに差し上げるのを楽しみに書きました。どうかお手もとにとどめておいてください。出版するつもりはございません……」と、個人的贈り物として書かれたことがはっきりと記されている。同時期に《スケルツォ》作品54や《バラード》作品52、《ポロネーズ》作品53の出版交渉をブライトコップフ社と行っていることからも、ショパンにとって出版のための大作と私的な小品という区分けができていたのかもしれない。
出版を意図していないということもあり、構造はヘ短調の前半部と変イ長調の後半部の2部分からなる平易で短い楽曲である。最初の一音は各自筆譜・出版譜間で相違があり、ショパンが常に弾き出しに気を遣っていたことが、ここにも表れている。献辞の多さは、貴族社会での付き合いが好調であった証でもある。 (2010.2.安川智子)
解説 : 齊藤 紀子
(278 文字)
更新日:2019年1月31日
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解説 : 齊藤 紀子 (278 文字)
2曲目のヘ短調は、1841年の作とされる。1曲目と3曲目と同様に、献呈されていないものの、非公式にはマリー・ドゥ・クルトナー等数人に贈られている。テンポ・ジュストの2部形式からなる。出版に際して校訂者がこの2部形式をそのままそっくり繰り返す版を作ったため、演奏に際してはそのどちらかを選択することになる。2部形式のB にあたる部分では、変イ長調に転じ、そのまま曲を閉じることが興味深い。曲全体を通して、スラーの長さが1小節、2小節、比較的長いスラーと多様であるため、演奏に際してそのことに留意すると、短いながらに印象深い作品としての味わいが出てくるだろう。
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